世界で1番売れた日本のゲームは何ですか？

世界で最も売れた日本のゲーム、その栄冠を誰に与えるか？この問いに対する答えは、驚くほど複雑で、明確な線引きはありません。 数字のマジック、定義の曖昧さ、そして情報公開の制限が、この「世界一」の座を巡る争いを、より一層混沌としたものとしているのです。

最も有力な候補として、常にその名を挙げるのが「ポケットモンスター」シリーズです。ゲームボーイから始まり、ニンテンドーDS、3DS、そして最新のNintendo Switchまで、多岐にわたるプラットフォームで展開され、世界中で熱狂的なファンを獲得してきました。 シリーズ全体での販売本数は、何億本にも上ると推測されており、単なるゲームソフトにとどまらず、トレーディングカードゲーム、アニメ、漫画、映画、玩具など、多様なメディアミックス展開を通じて莫大な経済効果を生み出しています。 その影響力は、ゲーム業界のみならず、社会文化全体にまで及ぶと言っても過言ではありません。ポケモンは、まさに世界規模の巨大なエンターテイメント・フランチャイズとして君臨していると言えるでしょう。

しかし、「世界で最も売れた」という定義を厳密に「単一のゲームタイトルの販売本数」に限定した場合、ポケモンシリーズの全タイトルを合計した数字ではなく、個々のゲームの販売本数で競争することになります。 そうなると、状況は一変します。 例えば、「スーパーマリオブラザーズ」シリーズは、その歴史の長さと圧倒的な人気から、多くのタイトルが世界的な大ヒットを記録しています。「スーパーマリオ64」や「New スーパーマリオブラザーズ Wii」など、単体タイトルでも億単位の販売本数を誇る作品が存在します。 これらの個々のタイトルが、シリーズ全体の販売本数で優位に立つポケモンシリーズを凌駕する可能性も、決して無視できません。

さらに問題を複雑にするのは、販売本数の正確な数値の入手困難さです。 各ゲームメーカーは、必ずしも全ての販売本数を公式に発表するわけではありません。 特に古いタイトルについては、正確なデータの収集は非常に困難です。 また、異なる地域での販売本数の集計方法の違いや、ダウンロード版とパッケージ版の販売数の合算方法など、集計方法によっても最終的な数値は大きく変動します。 そのため、単純な比較による「世界一」の決定は、極めて困難なのです。

結論として、「世界で最も売れた日本のゲーム」という問いに対する決定的な答えは、残念ながら存在しません。 ポケモンシリーズは、シリーズ全体での影響力と販売本数において、間違いなくトップ候補であり、その功績は計り知れません。 しかし、単一タイトルでの比較となると、他の有力な日本のゲームタイトル、特にマリオシリーズの個々の作品が、その座を奪う可能性も十分にあります。 この問題は、集計方法やデータの入手可能性といった客観的な要因だけでなく、主観的な定義の解釈によっても大きく左右される、非常に複雑な問題なのです。 そのため、明確な答えを出すことは不可能であり、それぞれのゲームの功績を尊重するのが適切と言えるでしょう。