2024年に日本で1番売れたゲームは？

2024年、日本のゲーム市場は活況を呈し、数々のタイトルが発売されました。しかし、その中でも群を抜く売上を記録し、日本一売れたゲームとして君臨したのは、意外にも（あるいは当然にも）任天堂のタイトルではありませんでした。少なくとも、単純な販売本数だけで判断した場合の話です。

表面的には、任天堂の『スーパーマリオパーティ ジャンボリー』が95万本の売上を記録し、2024年のトップセラーとして報じられました。確かに、この数字は決して小さくありません。ファミリー層への浸透力、マリオというブランド力、そしてパーティーゲームとしての親しみやすさが相乗効果を生み、安定した売上を支えたと言えるでしょう。手軽に遊べる、みんなで楽しめる、といった要素は、ゲーム人口の裾野を広げる上で大きな役割を果たしたはずです。年齢層の幅広さも、このタイトルの成功要因の一つでしょう。老若男女問わず楽しめる、まさに国民的ゲームとしての地位を確立したと言えるかもしれません。

しかし、数字の裏側には、より複雑な様相が潜んでいます。真の2024年日本一売れたゲームを語る上で、無視できない存在が、スクウェア・エニックスの『ドラゴンクエストⅢ そして伝説へ…』のリマスター版です。Switch版単体では『スーパーマリオパーティ ジャンボリー』に及ばない売上でしたが、PS5版との合算本数が116万1000本に達したのです。これは、単一のプラットフォームにおける売上ではなく、マルチプラットフォーム戦略の成功を如実に示す結果と言えるでしょう。

この差は、単にプラットフォームの普及率の違いだけではありません。長年に渡り愛され続けてきた『ドラゴンクエストⅢ』というタイトルの持つ圧倒的なブランド力、そして現代的な技術を用いたリマスター版による高いゲーム性、新規プレイヤーと古参プレイヤー両方を掴む戦略が奏功した結果と言えるでしょう。 多くのプレイヤーにとって、これは単なるゲームを超えた、一種の文化体験だったのではないでしょうか。幼少期にプレイした思い出と共に、再び冒険の世界に飛び込んだプレイヤーも少なくなかったはずです。ノスタルジーと現代技術の融合、まさに時代の流れを的確に捉えた戦略と言えます。

では、どちらが真の「日本一」なのか？ 単純な販売本数だけで判断すれば『ドラゴンクエストⅢ』ですが、プラットフォームを跨いでの集計であること、そして『スーパーマリオパーティ ジャンボリー』の単体での売上も無視できない数字であることを考慮する必要があります。 この結果から読み取れるのは、2024年の日本市場において、多様なニーズに対応したゲーム開発が成功を収めている、という事実です。 ニッチな層を狙ったインディーゲームの隆盛も無視できませんが、今回は国民的な知名度とブランド力を持ち、幅広い層に支持されたタイトルがトップを争った、と言えるでしょう。

今後、ゲーム市場においては、単なるゲーム性だけでなく、ブランド力、プラットフォーム戦略、そしてユーザー層へのアプローチ方法が、成功のカギを握る要素となることは間違いありません。 2024年のこの結果は、そのことを改めて示唆する重要な指標と言えるのではないでしょうか。 そして、来年以降、どのようなタイトルが「日本一」の座を争うのか、今から楽しみでなりません。