海外赴任で持ち家を賃貸した場合の税金は?

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海外赴任中に持ち家を賃貸した場合、得られた家賃収入は不動産所得として扱われ、原則として所得税の課税対象となり、日本での確定申告が必須です。ただし、不動産所得が年間20万円以下の場合は、確定申告は不要となります。

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海外赴任中の持ち家賃貸と税金:複雑な手続きを分かりやすく解説

海外赴任中に日本の持ち家を賃貸した場合、税金に関する手続きは複雑で、戸惑う方も多いでしょう。単身赴任とは異なり、家賃収入を得ることで、新たな税務上の義務が生じます。本稿では、海外赴任中の持ち家賃貸に関する税金について、分かりやすく解説します。

まず、重要なのは、家賃収入は「不動産所得」として扱われるということです。これは、給与所得とは別に、個人の所得として計上され、所得税が課税されることを意味します。 多くの赴任者は、海外での生活費を考慮し、日本の持ち家を賃貸に出すことで生活費の足しにすることを考えているでしょうが、その収入は税金対策をしっかりと行わないと、思わぬ負担になる可能性があります。

年間の不動産所得が20万円を超える場合、確定申告が必須となります。これは、たとえ海外に居住していても、日本国内に不動産を所有し、そこから収入を得ている限り、日本の税務当局に申告する義務があるからです。 20万円以下の場合は申告不要ですが、記録はきちんと残しておくことが重要です。税務調査が入った際に、申告漏れが判明すると、追徴課税だけでなく、延滞税も課せられる可能性があります。

では、具体的にどのような費用を計上し、どのように計算するのでしょうか? 不動産所得の計算は、家賃収入から必要経費を差し引くことで算出されます。 必要経費には、以下の項目が含まれます。

  • 修繕費: 建物の修繕やリフォームにかかった費用。ただし、大規模な改修工事などは、減価償却資産として処理する必要があります。
  • 固定資産税・都市計画税: 毎年支払う固定資産税と都市計画税は全額必要経費として計上できます。
  • 管理費・修繕積立金: マンション等の場合、管理組合に支払う管理費や修繕積立金も必要経費となります。
  • 借入金利息: 住宅ローンを組んでいる場合は、支払った利息も必要経費に計上できます。
  • 空室期間の家賃: 空室期間が生じた場合は、その期間分の家賃収入はゼロとなります。
  • 広告宣伝費: 賃貸物件の広告宣伝費も必要経費として認められます。
  • 不動産管理会社への手数料: 不動産管理会社に委託している場合は、支払った手数料も必要経費です。

これらの必要経費は、領収書や契約書などの証拠書類をきちんと保管しておく必要があります。 税務調査の際に、これらの書類を提示できないと、必要経費として認められない可能性があります。 特に海外赴任中は、書類の管理が難しくなるため、スキャナーなどでデジタル化してクラウド上に保存するなど、安全な管理方法を検討しましょう。

また、所得税だけでなく、住民税の納税義務も生じます。 住民税は、前年の所得を基に計算され、翌年の6月頃に納税通知書が届きます。 海外赴任中であっても、住民税は支払う必要があるため、しっかりと準備しておきましょう。

さらに、複雑なケースとして、二重国籍者や永住権保持者の方は、それぞれの国の税制に精通した専門家への相談が不可欠です。 日本の税金だけでなく、居住国の税金についても考慮する必要があるからです。

海外赴任中の持ち家賃貸は、税金に関する手続きが複雑で、専門知識が求められます。 不安な場合は、税理士などの専門家に相談することをお勧めします。 適切な手続きを行うことで、税金トラブルを回避し、安心して海外生活を送ることができます。 税金対策は、海外赴任の準備において、非常に重要な要素の一つであることを、改めて認識しておきましょう。