賃貸契約のキャンセル料は違法ですか?

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賃貸契約のキャンセルにおける違約金は、契約内容次第です。一方的なキャンセルによる損害賠償請求は認められるケースもありますが、申込金全額をキャンセル料として没収することは違法です。 貸主は、入居準備に要した具体的な費用を立証し、その範囲内で請求できます。 不明な点は必ず契約書を確認し、必要に応じて弁護士に相談しましょう。

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賃貸契約のキャンセル料、その正当性と落とし穴

引っ越しは人生の大きな転換期。新しい住まいへの期待に胸を膨らませる一方で、時には予期せぬ事情で賃貸契約をキャンセルせざるを得ない状況に直面することもあります。そんな時、気になるのがキャンセル料。一体どの程度の金額を請求されるのか、そしてそれは法的に認められるものなのか、不安を抱える方も多いのではないでしょうか。

結論から言うと、賃貸契約のキャンセル料は、契約内容とキャンセルに至った経緯によって大きく左右されます。契約書にキャンセル料に関する明確な条項があり、それが合理的な範囲内であれば、支払いの義務が生じる可能性があります。しかし、一方的に高額なキャンセル料を請求されることは決して許されません。

よくある誤解として、「申込金を全額キャンセル料として没収される」というものがあります。しかし、これは原則として違法です。申込金は、契約締結に向けた意思表示であり、契約成立前のキャンセルであれば、返還されるべきものです。ただし、契約書に申込金の性質や取り扱いについて明確な記載があり、それが合理的であれば、一部または全額がキャンセル料に充当される可能性も否定できません。

では、貸主はどのようなキャンセル料を請求できるのでしょうか? 法律上、貸主は契約キャンセルによって実際に発生した損害を請求する権利を有します。例えば、キャンセルによって空室期間が生じ、家賃収入が得られなかった場合、その損失額を請求することは可能です。また、入居者のために既に発注していた設備のキャンセル料や、鍵の交換費用など、具体的な費用を立証できれば、請求の対象となります。

重要なのは、貸主が請求するキャンセル料が、実際に発生した損害額と相関しているかどうかです。例えば、入居予定者の都合で契約をキャンセルしたにも関わらず、すぐに次の入居者が決まった場合は、貸主の実質的な損害は発生していないため、高額なキャンセル料を請求することはできません。

また、「違約金」と称して高額なキャンセル料を設定している契約書にも注意が必要です。違約金は、損害の発生を予測することが難しい場合に、あらかじめ損害賠償額を定めておくための制度ですが、その金額が過剰に高額である場合は、公序良俗に反するとされ、無効となる可能性があります。

契約書に記載されているキャンセル料が妥当かどうか判断に迷う場合は、消費者センターや弁護士などの専門家に相談することをお勧めします。特に、契約内容が複雑であったり、貸主との交渉が難航している場合は、専門家のアドバイスが大きな助けとなるでしょう。

賃貸契約をキャンセルする際は、まず契約書の内容をしっかりと確認し、キャンセル料に関する条項の有無や金額を確認しましょう。不明な点があれば、貸主と直接話し合い、納得のいくまで説明を求めることが重要です。また、キャンセルに至った経緯や事情を丁寧に説明することで、貸主との円満な解決につながる可能性もあります。

引っ越しは人生における一大イベントです。契約前にしっかりと契約内容を確認し、万が一のキャンセルに備えておくことで、安心して新しい生活をスタートできるよう準備しておきましょう。