CM方式のデメリットは？

CM方式は、建設プロジェクトの効率化や品質向上に寄与する一方、特有のデメリットも抱えています。単に総工費が確定しないという点だけでなく、プロジェクト遂行における様々なリスクや課題が存在します。本稿では、CM方式を採用する際のデメリットを多角的に考察し、そのリスク軽減策についても触れていきます。

まず、最も大きなデメリットは、先に述べた通り、総工費の不確定性です。元請け一括請負方式では、契約時に概算とはいえ総工費が提示されますが、CM方式では設計段階での見積もりはあくまで暫定的なものであり、工事の進捗や不測の事態によって、最終的な総工費が大きく変動する可能性があります。これは、発注者にとって大きなリスクとなります。特に予算に制約のある公共事業や民間企業においては、予算超過による計画変更やプロジェクトの中断を招く可能性があり、慎重な検討が必要です。見積もり精度の向上には、詳細な設計と、各専門業者からの正確な見積もりの取得が不可欠ですが、それには相応の時間を要し、プロジェクト全体のスケジュールにも影響を与える可能性があります。

次に、発注者側の負担増加が挙げられます。CMRへの委託費用に加え、複数の業者との契約締結、工程管理、コスト管理など、発注者自身も多くの作業を担う必要があります。専門知識や経験が不足している場合、適切な管理が難しく、かえってコスト増やスケジュール遅延につながる可能性があります。専門的な知識や経験を持つ人員を確保するか、外部のコンサルタントに依頼するなど、発注者側も十分な体制構築が求められます。

さらに、CMRの能力への依存度が高いこともデメリットです。CMRはプロジェクトの成功を大きく左右する存在であり、その選定は非常に重要です。経験不足や能力不足のCMRを選んでしまうと、工事の品質低下、コスト増、スケジュール遅延など、様々な問題が発生する可能性があります。CMRの選定にあたっては、実績や経験、専門性などを慎重に評価し、信頼できるパートナーを選択する必要があります。契約内容についても、責任範囲や報酬体系などを明確に定めておくことが重要です。

また、関係者間の調整の難しさも指摘できます。複数の業者との協調作業が必要となるため、それぞれの業者の利害調整や意思疎通がスムーズに行われないと、工期の遅延やコスト増加、品質の低下につながる可能性があります。CMRには、関係者間の良好なコミュニケーションを促進し、協力体制を構築する能力が求められます。

最後に、予期せぬリスクへの対応です。地盤調査で想定外の状況が判明したり、資材の高騰が発生したりといった、予期せぬ事態が発生した場合、CM方式では柔軟に対応できる可能性は高いですが、その対応に伴うコスト増加は避けられない可能性があります。これらのリスクを軽減するためには、詳細なリスクアセスメントを行い、適切なリスク管理計画を策定しておくことが重要です。

これらのデメリットを踏まえた上で、CM方式を採用するかどうかを慎重に判断する必要があります。メリットとデメリットを比較検討し、自社の状況やプロジェクトの特性に最適な方式を選択することが重要です。デメリットを軽減するためには、十分な計画、適切なCMRの選定、関係者間の綿密な連携、そしてリスク管理が不可欠です。