令和5年にストレスを感じる労働者の割合は？

令和5年、労働者の8割以上がストレスを抱える現状とその背景

令和5年に行われた労働者健康状況調査（厚生労働省）によると、労働者の82.7%が仕事や職業生活において何らかの強い不安、悩み、ストレスを感じていると回答しました。これは、過去の調査結果と比較しても依然として高い数値であり、日本の労働環境におけるストレス問題の深刻さを改めて浮き彫りにしています。

この8割を超えるという高い割合は、単に数値として捉えるのではなく、個々の労働者の心身の健康、ひいては日本社会全体の活力に大きな影響を与える可能性を秘めていることを認識する必要があります。では、なぜ令和5年においても、これほど多くの労働者がストレスを抱えているのでしょうか。

いくつかの要因が考えられます。まず、経済状況の不安定さが挙げられます。グローバル化の進展や技術革新の加速により、企業間競争は激化の一途を辿っています。その結果、人員削減や業務効率化が推進され、一人当たりの業務負担が増加する傾向にあります。また、非正規雇用者の増加や賃金の伸び悩みなども、将来への不安を煽り、精神的な負担を増大させていると考えられます。

次に、労働環境の変化も大きな要因です。長時間労働、ハラスメント、パワハラといった問題は依然として根強く、多くの労働者を苦しめています。テレワークの普及は、通勤時間の削減や柔軟な働き方を可能にする一方で、オンオフの切り替えが難しくなり、孤独感や孤立感を増幅させる可能性も指摘されています。

さらに、社会構造の変化も影響を与えていると考えられます。少子高齢化が進み、労働力不足が深刻化する中で、育児や介護といった家庭の事情を抱えながら働く労働者が増加しています。仕事と家庭の両立は容易ではなく、心身ともに疲弊してしまうケースも少なくありません。

このような背景を踏まえ、企業や社会全体として、労働者のストレス軽減に向けた取り組みを強化する必要があります。具体的には、以下の施策が求められます。

• 労働時間管理の徹底と休暇取得の促進: 長時間労働を是正し、十分な休息を取れるようにする。
• ハラスメント対策の強化: ハラスメント防止のための研修や相談窓口の設置など、実効性のある対策を講じる。
• 柔軟な働き方の推進: テレワークやフレックスタイム制度の導入など、多様な働き方を支援する。
• メンタルヘルスケアの充実: 相談しやすい環境づくりや専門家によるカウンセリングの提供など、心のケアをサポートする。
• 企業文化の見直し: 互いを尊重し、助け合う風土を醸成する。

労働者のストレス軽減は、単に個人の問題として捉えるべきではありません。企業の生産性向上、ひいては日本経済の活性化にも繋がる重要な課題です。令和5年の高いストレス割合を真摯に受け止め、社会全体で対策に取り組むことが求められています。