大人で高熱がなかなか下がらない原因は何ですか？

大人の高熱がなかなか下がらない、つまり38度以上の熱が数日間続く場合、その原因を探ることは非常に重要です。自己判断で市販薬を服用し続けるのではなく、医療機関を受診して適切な診断と治療を受けることが大切です。

高熱が長引く原因は多岐に渡り、大きく分けて感染症、炎症性疾患、悪性腫瘍、その他に分類できます。

1. 感染症:

最も一般的な原因は感染症です。風邪やインフルエンザといったありふれたウイルス感染症でも、体力が低下していたり、他の疾患を併発している場合などは高熱が長引くことがあります。また、肺炎（マイコプラズマ肺炎、肺炎球菌肺炎など）、膀胱炎、腎盂腎炎、髄膜炎、感染性心内膜炎など、より重篤な感染症も高熱の長期化につながる可能性があります。近年では、新型コロナウイルス感染症も高熱が長引く原因の一つとして挙げられます。これらの感染症は適切な抗菌薬や抗ウイルス薬による治療が必要となるため、早期の医療機関受診が重要です。

2. 炎症性疾患:

感染症以外でも、体内の炎症が原因で高熱が続くことがあります。例えば、リウマチ熱、膠原病（全身性エリテマトーデス、関節リウマチなど）、血管炎などは発熱を伴うことがあります。また、胆管炎や膵炎、虫垂炎といった急性炎症も高熱の原因となります。これらの疾患は、炎症を抑える治療が必要となるため、自己判断は危険です。

3. 悪性腫瘍:

まれなケースですが、悪性腫瘍（がん）が原因で高熱が続くこともあります。白血病、リンパ腫、悪性黒色腫などは発熱を伴う場合があります。また、がんが他の臓器に転移した場合にも発熱が見られることがあります。高熱以外にも、体重減少、倦怠感、食欲不振などの症状がある場合は、悪性腫瘍の可能性も考慮し、医療機関を受診する必要があります。

4. その他:

上記以外にも、薬剤熱、心因性発熱、甲状腺機能亢進症、熱中症なども高熱の原因となることがあります。薬剤熱は特定の薬剤に対するアレルギー反応によって起こる発熱で、服用を中止することで改善します。心因性発熱は精神的なストレスが原因で起こる発熱で、心理的なケアが必要となる場合があります。甲状腺機能亢進症は甲状腺ホルモンが過剰に分泌されることで代謝が亢進し、発熱につながることがあります。熱中症は高温多湿の環境下で体温調節機能が破綻することで起こるもので、適切な冷却と水分補給が必要です。

高熱が続く場合は、自己判断せずに医療機関を受診し、原因を特定することが重要です。医師は患者の症状、既往歴、身体所見、血液検査、画像検査などの結果を総合的に判断し、適切な診断と治療を行います。早期に適切な治療を受けることで、重症化を防ぎ、速やかな回復につながります。また、脱水症状を防ぐためにも、水分をこまめに摂取することが大切です。十分な休息を取り、体力を回復させることも重要です。

特に、高熱に加えて、強い頭痛、意識障害、呼吸困難、胸痛、激しい腹痛などの症状がある場合は、緊急性を要するため、すぐに救急車を呼ぶか、近くの医療機関に受診してください。

自己判断は危険ですので、少しでも不安な場合は、医療機関に相談しましょう。