放射線治療の急性期と晩期はいつですか?

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放射線治療による副作用の発現時期は、大きく分けて2つあります。治療中または治療直後に現れるものを「急性期」、治療終了後半年から数年経過してから現れるものを「晩期」と呼びます。副作用の種類や程度は、治療部位や照射線量によって異なります。

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放射線治療は、がん細胞を破壊する効果的な治療法ですが、正常細胞にも影響を与えるため、様々な副作用を引き起こす可能性があります。これらの副作用は、その発現時期によって「急性期副作用」と「晩期副作用」に大別されます。両者の違いを理解することは、治療を受ける患者さん、そして医療従事者にとって非常に重要です。

急性期副作用:治療直後から数週間以内に発現

急性期副作用は、放射線治療中または治療直後、通常は数週間以内に現れます。これは、放射線が正常細胞に損傷を与えることによる直接的な影響が主な原因です。症状は、治療部位や照射線量、個々の患者の感受性によって大きく異なります。 一般的な急性期副作用には以下のようなものがあります。

  • 皮膚反応: 治療部位の皮膚は、紅斑(赤み)、乾燥、脱皮、かゆみ、ひび割れなどを起こす可能性があります。重症の場合は、潰瘍や出血に至ることもあります。これは、放射線が皮膚細胞の再生能力を阻害するためです。照射範囲が広く、高線量の場合、より強い皮膚反応が現れる傾向があります。

  • 粘膜炎: 消化管や口腔粘膜に放射線が照射されると、粘膜炎を引き起こす可能性があります。これは、口内炎、咽頭痛、嚥下困難、下痢、吐き気、嘔吐などの症状として現れます。粘膜は再生能力が比較的高い組織ですが、高線量の放射線照射を受けると、著しい炎症を引き起こします。

  • 脱毛: 放射線治療の照射範囲に毛包が含まれる場合、脱毛が起こる可能性があります。これは一時的なもので、治療終了後数ヶ月から数年で毛髪は再生しますが、元の状態に完全に回復しない場合もあります。

  • 疲労: 放射線治療は、体全体のエネルギーレベルに影響を与え、強い疲労を引き起こすことがあります。これは、放射線が血液細胞に影響を与え、体の修復能力を低下させるためだと考えられています。

  • 食欲不振: 粘膜炎や吐き気、嘔吐などの症状により、食欲不振が起こることがあります。これは、栄養状態の悪化につながるため、注意が必要です。

晩期副作用:治療終了後半年から数年後に発現

晩期副作用は、治療終了後半年から数年、場合によっては数十年後に現れる場合があります。これは、放射線の影響が時間をかけて蓄積され、細胞の修復機構が追いつかなくなるためです。急性期副作用とは異なり、回復が遅く、場合によっては不可逆的な変化を招く可能性があります。

  • 線維症: 放射線が照射された組織に線維組織が増殖し、硬化や機能障害を引き起こす状態です。肺、心臓、食道などに起こることがあり、呼吸困難、嚥下困難、狭心症などの症状が現れる場合があります。

  • 臓器障害: 放射線照射によって、臓器の機能が徐々に低下していくことがあります。心臓、肺、腎臓、肝臓など様々な臓器が影響を受ける可能性があり、症状は臓器によって異なります。

  • 二次がん: 放射線治療は、二次がんのリスクを高める可能性があります。これは、放射線が正常細胞のDNAを損傷し、がん細胞を誘発するためです。二次がんの発症リスクは、照射線量、照射範囲、患者さんの年齢などによって異なります。

  • 神経障害: 放射線が神経に影響を与えることで、感覚異常、麻痺、疼痛などの神経障害が起こることがあります。

急性期副作用と晩期副作用は、それぞれ異なるメカニズムで発生し、症状や治療法も異なります。医療チームは、治療計画を立てる際に、これらの副作用を予測し、軽減するための対策を講じます。 患者さん自身も、治療を受ける前には、医師から副作用について十分な説明を受けることが重要です。 早期発見と適切な対処によって、副作用による苦痛を軽減し、QOL(生活の質)を向上させることができます。 疑問点があれば、いつでも医療チームに相談するようにしましょう。