看護師が楽な診療科は？

看護師にとって「楽」な診療科は存在するのか？ この問いに対する答えは、残念ながら単純な「はい」でも「いいえ」でもありません。なぜなら、「楽」という主観的な評価は、個々の看護師の体力、精神力、価値観、そして得意不得意によって大きく変わるからです。 しかし、一般的に他の診療科に比べて比較的、身体的・精神的な負担が少ないとされている診療科をいくつか挙げ、その理由を詳細に検討してみましょう。

まず、多くの看護師が比較的負担が少ないと感じる診療科として挙げられるのは 眼科 です。眼科では、手術や緊急処置が少ない傾向にあり、急性期の患者さんが少ないため、夜勤や休日出勤の頻度も比較的低いことが多いです。主な業務は、医師の診察補助、検査補助、点眼や塗り薬の処置などであり、力仕事は少なく、体力的な負担が少ないと言えます。しかし、精密な機器操作や細かい作業の正確性が求められるため、精神的な集中力は必要です。また、患者の不安を丁寧に解消するコミュニケーション能力も重要です。

皮膚科 も、比較的負担が少ないとされる診療科の一つです。皮膚科では、命に関わるような緊急性の高い処置は少ないため、精神的な負担は比較的軽いと考えられています。主な業務は、患者の問診、診察補助、湿布や軟膏の処置、検査の補助などです。 しかし、皮膚疾患は種類が多く、症状も多様であるため、専門的な知識と、患者への丁寧な説明能力が求められます。また、慢性疾患の患者さんが多く、長期的なケアが必要となる場合も少なくありません。

耳鼻咽喉科 は、ルーティンワークが多いという点が、負担軽減に繋がる可能性があります。 検査や処置の手順が比較的標準化されており、業務を覚えやすいというメリットがあります。 しかし、耳鼻咽喉科特有の検査や処置は、繊細な技術と知識を必要とする場合も多く、熟練が必要になります。また、患者の苦痛を軽減するためのコミュニケーションスキルも重要です。特に小児患者を多く扱う場合、高度な対応が求められるでしょう。

心療内科 は、身体的な負担は少ないとされていますが、精神的な負担は他の診療科に比べて大きい場合があります。緊急対応の頻度は低いものの、患者さんの精神状態を理解し、共感に基づいたケアを行うことが求められます。患者との深い関わり合いが求められるため、精神的な消耗が大きいと感じる看護師も少なくありません。高度なコミュニケーションスキルと、自分自身のメンタルヘルスの維持が不可欠です。

しかし、これらの診療科が必ずしも「楽」であるとは限りません。 どの診療科でも、患者さんとのコミュニケーション、正確な医療行為の実施、チーム医療への貢献などは常に求められます。 また、繁忙期にはどの診療科でも多忙を極めることは避けられません。

結局、「楽」な診療科は、個々の看護師の個性や能力、そしてその時の状況によって異なるのです。 自分の適性や強みを理解し、働く環境や職場雰囲気も考慮しながら、自分に合った診療科を選ぶことが重要です。 「楽」を求めるのではなく、「やりがい」を感じ、自分の能力を活かせる診療科を見つけることが、看護師として長く働き続けるための秘訣と言えるでしょう。