看護師として一番きつい科は？

看護師として「一番きつい」科は、断言することはできません。なぜなら、個々の看護師の経験、性格、専門性、そして勤務先の環境によって、辛いと感じる科は大きく異なるからです。しかし、多くの看護師から「特に負担が大きい」とされる科とその理由を、様々な視点から掘り下げて考えてみましょう。

一般的に、循環器内科、脳神経外科、ICU（集中治療室）、手術室、救急科、精神科・心療内科などは、高いストレスレベルと負担を伴う科として認識されています。これらの科の厳しさは、単に業務量が多いというだけでなく、多様な要因が複雑に絡み合っているところにあります。

まず、循環器内科では、心筋梗塞や不整脈など、生死に関わる緊急事態が頻繁に発生します。常に患者さんの容体の変化に迅速に対応し、正確な判断と迅速な処置が必要となるため、精神的な緊張感が高く、高い専門知識と技術が求められます。また、患者の多くが高齢である場合も多く、多様な疾患を抱えているケースも多いため、看護師の負担は増大します。

脳神経外科も同様です。脳卒中や脳腫瘍などの重症患者が多く、一刻を争う状況での対応が求められます。高度な専門知識と技術に加え、患者の家族とのコミュニケーションや、患者の精神的なケアにも細やかな配慮が必要です。患者さんの予後が不確定な場合も多く、看護師は大きな精神的ストレスを抱えることになります。

ICUは、生命維持装置に繋がれた重症患者を集中して管理する部署です。高度な医療機器の操作、精密な観察、迅速な対応が常に求められ、患者の容体変化への対応はまさに秒単位で行われるため、常に緊張感を強いられます。また、患者さんの家族の不安や悲しみへの対応も重要な役割であり、精神的な負担は計り知れません。

手術室では、手術中の患者の安全確保と手術チームへのサポートが最優先されます。高度な無菌技術、迅速かつ正確な医療機器の操作、手術中の緊急事態への対応など、常に集中力を維持しなければならず、緊張感の高い環境です。

救急科は、予期せぬ事態が次々と起こる場所です。様々な重症患者が搬送され、常に緊急事態に対応しなければなりません。限られた時間の中で正確な判断と迅速な対応が求められるため、精神的な負担は極めて大きいです。

精神科・心療内科は、他の科とは異なる種類の負担があります。患者さんの情緒的な不安定さや、自己傷害行為への対応など、高度なコミュニケーション能力と精神的な強さが求められます。また、患者さんの回復には時間がかかり、その過程で看護師自身も感情的に疲弊してしまう可能性があります。

これらの科は、それぞれ異なる特性を持ち、その厳しさも多様ですが、共通しているのは、高い専門性、迅速な判断力、そして強い責任感と精神力が必要とされる点です。 「一番きつい科」という問いには、明確な答えはありませんが、どの科も看護師にとって、やりがいと同時に大きな負担を伴うものであると言えるでしょう。 そして、それぞれの科で働く看護師が、その環境下で最大限の能力を発揮し、患者さんにとって最善のケアを提供できるよう、支援体制の充実が不可欠です。