ベトナム人は英語が喋れる?

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ベトナムの英語能力は、アジア諸国の中でも高い水準にあり、日本を上回っています。 国際的な英語力調査ではベトナムは60位、日本は80位と、その差は歴然としています。 ただし、これは平均値であり、ベトナム国民全員が流暢に英語を話せるわけではない点に留意が必要です。

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ベトナム人は英語を話せるか? この問いに対する答えは、単純な「イエス」か「ノー」では片付けられません。ベトナムの英語能力は、国全体を均質的に捉えることができないほど多様性に富んでいるからです。確かに、国際的な英語能力調査でベトナムは日本よりも高い順位を記録していますが、その背後にある複雑な現実を理解することが重要です。

まず、前述の国際的な英語力調査の結果は、平均値に基づいています。平均値は、都市部に住む若者や、英語教育に力を入れている学校に通った人々の高い英語能力と、農村部に住む高齢者や教育機会に恵まれなかった人々の低い英語能力が平均化された結果です。つまり、ハノイやホーチミン市のような大都市では、英語を流暢に話すことができる若者に出会うことは比較的容易ですが、地方の小さな村では英語を話す人が少ないという現実があります。

次に、英語能力の指標となる「話す」「聞く」「読む」「書く」の4技能において、ベトナム人の強みや弱みがそれぞれ存在します。多くのベトナム人は、特に若い世代では、英語の読み書き能力が高い傾向にあります。これは、英語が学問やビジネスの世界で広く使われていること、そして英語学習教材が豊富に手に入ることと密接に関係しています。多くの学校では、早期から英語教育が導入されており、質の高い教育を受けられる私立学校も増加しています。さらに、インターネットやグローバルなエンターテイメントへのアクセスが容易になったことで、自然な形で英語に触れる機会が増えています。

しかし、スピーキングとリスニングの能力に関しては、依然として課題が残されています。文法や語彙の知識はあっても、実際に英語を使ってコミュニケーションをとることに慣れていない人が多くいます。これは、英語教育において、文法中心の授業が多く、スピーキングやリスニングの練習機会が不足していることが一因として挙げられます。また、英語を話す機会が少ない環境にある人も少なくありません。

さらに、地域差も無視できません。経済発展が進んでいる南部地域、特にホーチミン市周辺では、英語を話す人が多く、英語を日常的に使用する場面も増えています。一方、北部や中部地方では、英語に触れる機会が比較的少ないため、英語能力の平均値は低くなる傾向があります。

最後に、年齢も大きな要因です。若い世代は、英語学習に積極的で、インターネットを通じて英語学習リソースに容易にアクセスできるため、高い英語能力を持つ人が増えています。しかし、高齢者の世代は、英語学習の機会が少なかったため、英語能力は低い傾向にあります。

結論として、ベトナム人の英語能力は、一概に「高い」または「低い」と断言することはできません。地域、年齢、教育レベルなど、様々な要因によって大きく異なります。平均値は高い数値を示していても、実際には、英語を流暢に話すことができる人と、そうでない人の間には大きな格差が存在する複雑な現実があることを理解しておくべきです。 そのため、ベトナム人と英語でコミュニケーションをとる際には、相手の英語能力を事前に想定することなく、ゆっくりと明確に話すこと、そして必要に応じて簡単な言葉を使うなど、柔軟な対応が求められます。