入籍すると節税になりますか？

結婚すると節税になる？配偶者控除のメリットと落とし穴

結婚は人生における大きな転機であり、経済面にも大きな影響を与えます。特に税金に関しては、独身の時とは大きく異なる状況となるため、事前にしっかりと理解しておくことが大切です。よく「結婚すると節税になる」と言われますが、これは必ずしも真実ではありません。確かに、配偶者控除や配偶者特別控除といった制度を利用することで税金が軽減される可能性はありますが、その効果は個々の状況によって大きく変わるため、安易に節税効果を期待するのは危険です。

この記事では、結婚による節税効果について、配偶者控除と配偶者特別控除を中心に、そのメリットと落とし穴を詳しく解説します。

まず、最も重要なのは配偶者控除です。これは、給与所得者である配偶者の扶養親族となっている場合に、その配偶者の所得に応じて、給与所得のある方の所得税額から控除される制度です。具体的には、配偶者の年間所得が一定額（令和6年度は150万円）以下であれば、最大38万円の控除を受けることができます。しかし、この「一定額以下」という条件が重要です。配偶者の年収が150万円を超えると、控除額は徐々に減少し、150万円を超えて200万円に達すると控除はなくなります。 また、配偶者が会社員など、給与所得者である必要があり、自営業者や年金生活者などは対象外となる場合があります。

次に、配偶者の所得が150万円を超える場合に適用されるのが配偶者特別控除です。これは、配偶者の年収が150万円を超え、200万円以下の場合に適用される控除で、所得に応じて控除額が変動します。控除額は、配偶者の収入によって減額され、200万円を超えると適用されなくなります。

これらの控除を受けるためには、配偶者が扶養親族となることが条件です。つまり、配偶者の収入が一定額（令和6年度は150万円、副収入を除く）以下で、他の所得控除の条件も満たす必要があります。 単に結婚したからといって自動的に節税効果が得られるわけではないことを理解しなければなりません。

さらに考慮すべき点は、税率です。高所得者ほど税率が高いため、控除による税金軽減効果は大きくなります。逆に、低所得者であれば、控除による節税効果は限定的となるでしょう。 控除額が同じでも、税率によって節税効果は大きく変わるのです。

そして、落とし穴として考えなければならないのが、社会保険料です。結婚により配偶者の扶養家族になることで、健康保険料や年金保険料が変わる可能性があります。 配偶者控除の節税効果を得ても、社会保険料の負担が増加すれば、トータルの経済効果は減少する可能性も考慮しなければなりません。

結論として、結婚による節税効果は、配偶者の年収、それぞれの収入、税率、社会保険料など、様々な要因によって複雑に影響を受けます。 結婚前に、それぞれの収入や状況を考慮し、税理士や専門家に相談して、正確な節税効果を計算することが重要です。 単なる「結婚＝節税」という安易な考えは避け、具体的な数字を基に判断しなければ、思わぬ損をする可能性もあります。 事前にしっかりと情報を集め、計画的に結婚後の生活を設計することが大切です。