共働きと専業主婦の世帯年収はいくら違いますか？

共働きと専業主婦、世帯年収の差額196万円だけじゃない！見えてこない格差とその実態

総務省統計局の家計調査（2023年）によると、共働き世帯と専業主婦世帯の年収差は約196万円。一見すると、単純に妻が働くか働かないかの収入差のように思えます。しかし、この数字の背景には、もっと複雑で多層的な要因が絡み合っており、196万円という数字だけでは見えてこない格差が存在します。

まず、この196万円という数字は平均値であることを理解する必要があります。高収入の共働き世帯が平均値を押し上げている可能性もあれば、パートタイムで働く妻がいる世帯も含まれているため、実際の差は家庭によって大きく異なります。また、世帯主の年齢や子供の有無、居住地域などによっても大きく変動します。

さらに、この数字は直接的な収入差のみを表しており、間接的な経済効果は考慮されていません。例えば、専業主婦が担っている家事や育児を外部に委託した場合のコストを考えると、実際の経済的貢献は数字以上に大きいと考えられます。家事代行サービス、ベビーシッター、塾や習い事の送迎など、これらを全てお金で賄おうとすると、相当な金額になります。これらの隠れたコストを考慮すると、196万円という数字は、専業主婦の家庭への貢献を過小評価していると言えるでしょう。

また、キャリアの継続性という視点も重要です。専業主婦の場合、一度仕事から離れると、再就職が難しい場合や、以前と同じ水準の収入を得ることが難しい場合があります。これは、長期的な収入の減少につながり、結果的に世帯年収の格差をさらに広げる可能性があります。出産や育児で一度キャリアを中断した女性が、その後非正規雇用で働くケースも多く、正規雇用と比較して収入や福利厚生で不利な立場に置かれることもあります。

一方、共働き世帯にも課題はあります。仕事と家事・育児の両立は容易ではなく、特に女性に負担が偏りがちです。長時間労働や残業が多い職場では、家事や育児に十分な時間を割くことができず、ストレスや疲労が蓄積してしまうこともあります。また、 childcareの費用も大きな負担となります。待機児童問題も深刻で、希望する保育園に入れない場合、仕事を諦めざるを得ないケースも少なくありません。

このように、共働きと専業主婦、どちらの選択にもメリットとデメリットが存在します。196万円という数字はあくまでも一つの指標であり、それぞれの家庭の状況や価値観によって最適な選択は異なります。重要なのは、それぞれの選択が尊重され、どちらの生き方も選択しやすい社会環境が整備されることです。家事・育児の負担軽減のためのサポート体制の充実や、柔軟な働き方ができる職場環境の整備など、社会全体の意識改革が必要と言えるでしょう。

最後に、この議論は単に経済的な側面だけでなく、個人の生き方や幸福にも深く関わっています。収入の多寡だけで人生の価値を測ることはできません。自分にとって何が大切なのか、どのような人生を送りたいのか、家族としっかり話し合い、納得のいく選択をすることが大切です。そして、社会全体がそれぞれの選択を尊重し、多様な生き方を応援できるような社会を目指していくことが重要です。