日本では結婚する割合は？

日本の結婚を取り巻く現状：少子高齢化と晩婚化の影

日本の結婚事情は、近年深刻な減少傾向にあり、明るい未来像を描くことが難しい状況となっています。令和5年（2023年）の婚姻件数は47万4717組。前年比で約3万組も減少したという数字は、日本の社会構造が抱える問題を如実に表しています。人口千対の婚姻率も3.9と、前年の4.1を下回り、減少傾向は加速していると言えるでしょう。この背景には、少子高齢化と晩婚化という二つの大きな要因が複雑に絡み合っています。

少子高齢化は、そもそも結婚適齢期人口の減少を招いています。若年層の人口減少は、結婚相手候補の数を減らし、結果として婚姻件数の減少に直結します。さらに、高齢化社会では、高齢者の介護や生活支援といった負担が、若者世代の結婚や子育てへの意欲を阻害する要因にもなっています。経済的な不安定さも、この問題を複雑化させています。親の介護や生活費に加え、自身の老後資金への不安は、結婚や出産に対する心理的なハードルを高くしています。

一方、晩婚化も、婚姻件数減少に大きく影響を与えています。経済的な自立やキャリア形成を優先する若者が増え、結婚の年齢が上昇傾向にあります。しかし、年齢を重ねるにつれて、結婚相手を探す機会は減少傾向にあり、結果として生涯未婚率の上昇につながっています。また、晩婚化は、妊娠・出産のリスク増加にも繋がります。高齢出産は、母子ともに健康リスクが高まるため、結婚を躊躇する要因にもなっていると考えられます。

これらの問題の解決策は、容易ではありません。政府は、少子化対策として様々な政策を打ち出していますが、効果は限定的です。保育所の整備や待機児童問題の解消、育児休業制度の充実、女性の社会進出支援など、多角的なアプローチが必要不可欠です。しかし、政策だけでなく、社会全体の意識改革も求められます。

例えば、結婚や出産に対する社会的な偏見や圧力を減らし、多様なライフスタイルを尊重する社会を作ることが重要です。結婚や出産は個人の選択であり、それによって価値観が決まるべきではないという認識が、広く共有される必要があります。また、仕事と家庭の両立を支援する企業文化の醸成も不可欠です。育児休暇取得の促進や、柔軟な働き方の導入など、企業側の積極的な取り組みが求められます。

さらに、結婚や子育てに対する経済的な支援の強化も必要です。住宅補助や保育料の軽減、出産育児一時金の増額など、具体的な経済的な支援策を通じて、結婚や出産に対する経済的な不安を軽減することが重要です。

日本の婚姻件数の減少は、単なる統計上の数字ではありません。それは、日本の将来を担う人口減少という深刻な問題と深く結びついており、社会全体で取り組むべき喫緊の課題です。少子高齢化と晩婚化という複雑な問題に正面から向き合い、多角的な視点から解決策を探求していくことが、日本の未来にとって不可欠です。 長期的な視点に立った政策と、社会全体の意識改革が、この問題の解決に繋がる鍵となるでしょう。