結婚式をしたくない人はどれくらいの割合ですか？

結婚式をしない「ナシ婚」を選ぶカップルが増加している現状は、現代の結婚観の変化を如実に示しています。ゼクシィ調査によると、2023年は入籍者全体の約19.4%が結婚式を挙げていないと報告されています。これは、わずか5年ほど前のデータと比較して大きな増加を示しており、社会の価値観やライフスタイルの多様化が、結婚の形にも多様な選択肢を生み出していることを示唆しています。

なぜ、結婚式をしないという選択が増えているのでしょうか？その理由は多岐に渡りますが、大きく分けて経済的な理由、時間的制約、そして価値観の変化という3つの要因が考えられます。

まず、経済的な理由です。結婚式は、近年高騰する傾向にあります。会場費、料理費、衣装代、招待状印刷、交通費など、様々な費用がかかり、それらの負担が大きくなっていることが挙げられます。若い世代は、住宅購入や教育資金など、結婚と同時に抱えるべき課題も増加しており、結婚式に多額の費用を投じることをためらうケースが増えているのです。結婚式の費用を抑制する努力は、より自由に使える資金を確保し、結婚後の生活をより豊かなものにするための戦略となることもあります。

次に、時間的制約も重要な要因です。現代社会は、仕事やプライベートな活動など、多様な選択肢が溢れています。結婚式準備は、時間と労力の大きな負担となります。新郎新婦それぞれが、仕事や趣味、友人関係など、充実した時間を過ごしたいと考える一方で、結婚式準備に多くの時間を割くことが難しい状況です。時間と労力をかけずに、結婚という大切なステップを踏み出したいという思いが、結婚式をしない選択に繋がっていると言えます。

そして、最も重要なのは価値観の変化です。結婚そのものの価値観が変化していると言えるでしょう。結婚への意識は、もはや「結婚＝結婚式」という固定観念にとらわれない、より柔軟で自由な方向へと移行しています。結婚の意義は、法律的な手続きや社会的な承認よりも、二人にとっての深い愛情や信頼、そして共同生活の構築にあると考える人が増えていると考えられます。また、結婚式の形式的な枠組みにとらわれず、二人の大切な人々との、より温かくカジュアルな集まりを優先したいという考え方も、増加している傾向です。

さらに、近年増加する共働き家庭において、結婚式に時間を割く余裕がないという声も無視できません。家事育児との両立は、結婚生活においても大きな課題であり、結婚式準備に多くの時間を費やすことが、これらの負担を増してしまうと感じるケースも少なくありません。

しかし、結婚式をしない選択が増えたからといって、結婚そのものの価値が減ったわけではありません。結婚式の有無にかかわらず、結婚は、二人の人生を共に歩むための大切なプロセスであり、社会的な意義も持っています。

重要なのは、結婚の形態やスタイルは多様であるということです。結婚式をしない選択は、単なる流行やトレンドではなく、現代社会が抱える様々な問題や、個々人が抱える価値観の変化を反映しています。今後、結婚のあり方は、さらに多様化していくと考えられます。結婚式を挙げるか否かは、個人やカップルそれぞれの事情や価値観に依存するものであり、特別な意味合いを持つ一つの選択に過ぎないと言えるでしょう。

この状況を理解することは、結婚文化や社会全体の変化を理解し、より多様な選択肢が受け入れられる社会を築く上で不可欠です。それぞれのカップルが、自分たちにとって最良の選択をすることができるよう、柔軟な対応と理解が求められます。