結婚祝いで渡さない方がいいものは？

結婚祝いは、新生活を始めるカップルへの祝福と、未来への希望を込めた贈り物です。しかし、せっかくの気持ちも、贈り物選びを間違えると、相手に不快感を与えてしまう可能性があります。 単に「縁起が悪い」と一括りにするのではなく、その背景にある日本文化の奥深さ、そして現代社会におけるマナーの微妙な変化を踏まえて、結婚祝いで避けた方が良いものを考えてみましょう。

まず、よく知られている「刃物」や「割れ物」。これは「縁が切れる」「関係が壊れる」といったネガティブな連想から、避けるべきとされています。 しかし、これは単なる言葉の響きだけでなく、古くから続く日本人の「物に宿る魂」という考え方が背景にあります。 贈り物には、贈る人の気持ちだけでなく、物自体に力が宿ると信じられており、ネガティブなイメージを持つものは、新しい家庭に悪影響を与えると懸念されるのです。 これは、ナイフやグラスといった具体的な物だけでなく、デザインや形状によっては、鋭利な印象を与えるものでも同様の懸念が働きます。

次に、意外に知られていないのが「ハンカチ」。一見、実用的な贈り物ですが、ハンカチは「手巾」と書き、「手」を「拭く」という行為から、「不幸を拭き取る」といった解釈がされることがあります。 特に、白のハンカチは葬儀の際に用いられることも多く、結婚祝いには相応しくないと考えられています。 同様に、日本茶も、弔辞として用いられることがあるため、結婚祝いにはふさわしくないとされる場合があります。

「櫛」も避けるべき贈り物のひとつです。これは、「苦」に通じるという理由から、縁起が悪いとされています。 また、古くは櫛が女性の髪を梳かすための道具として重要な役割を担っていたことから、結婚後もずっと一緒に過ごす夫や妻に、常に「苦」が伴うようなイメージを与えてしまうと懸念されるのです。

ペアのアイテムも注意が必要です。 一般的に偶数は「死」を連想させるため、ペアのカップやタオルなど、偶数で揃えられた贈り物は避ける傾向があります。 特に、古くから「死」を連想させる「４」の数字は、徹底的に避けられるべきでしょう。 奇数であれば、問題ありません。

さらに、現代社会においても考慮すべき点は、相手の好みやライフスタイルです。 いくら縁起が良いとされていても、相手に全く必要のないもの、あるいは既に持っているものは、贈り物としては好ましくありません。 例えば、高価な食器セットを贈る場合、相手の食生活や生活空間を事前に把握しておく必要があります。 本当に喜ばれる贈り物とは、相手への深い理解と配慮に基づいたものであることを忘れてはいけません。

結論として、結婚祝いの贈り物選びは、単なるマナーにとどまらず、相手への深い愛情と配慮を込めた、心温まる行為であるべきです。 縁起を担ぐだけでなく、相手が本当に喜んでくれるものを選び、新生活への祝福の気持ちを伝えることが大切なのです。 そして、万が一、贈り物の選択に迷った場合は、直接相手に相談するのも一つの方法です。 大切なのは、贈り物そのものよりも、贈る人の気持ちなのです。