結納金なしは誰が決める？

結納金なし、その決定権はどこにあるのか？ 現代の結婚を取り巻く状況の変化を踏まえ、この複雑な問題を多角的に考察してみましょう。

冒頭で述べられているように、結納金に関する決定は、新郎新婦双方が話し合って決めるのが理想的な姿です。 しかし、「話し合って決める」という言葉の裏側には、様々な葛藤や微妙な力関係が潜んでいることを忘れてはいけません。 単に「話し合った」という事実だけでは、真の意味で合意が得られたとは言えないケースも少なくありません。

例えば、家柄や地域性、経済状況などによって、結納金に対する考え方は大きく異なります。 裕福な家庭では、結納金は形式的なものと捉え、金額にこだわらないケースも多いでしょう。 一方で、経済的に余裕のない家庭では、結納金は大きな負担となり、その有無、そして金額は重要な問題となります。 こうした経済的な格差は、話し合いの過程で大きな溝を生み出す可能性があります。

さらに、親世代の考え方も無視できません。「昔ながらのやり方」にこだわり、結納金なしを頑なに拒む両親もいれば、現代の事情を理解し、新郎新婦の意思を尊重する両親もいます。 特に、親世代と新郎新婦の価値観のずれは、話し合いの際に大きな摩擦を引き起こす可能性があります。 親世代が「結納金は家の威信に関わる」と考えている一方で、新郎新婦が「形式的な儀式に費用をかけるのは無駄」と考えている場合、両者の間で妥協点を導き出すのは容易ではありません。

そして、重要なのは「誰が決めるか」ではなく「どのように決めるか」ということです。 単に新郎新婦の意思だけで決めるのではなく、それぞれの家庭の事情や考え方を理解し、お互いの気持ちを尊重しながら、納得できる結論を導き出すプロセスが大切です。 そのためには、早いうちから、新郎新婦だけでなく、両家の親とも十分なコミュニケーションを取り、それぞれの立場を理解し合う努力が必要です。

具体的には、それぞれの家庭の経済状況を共有し、結納金にかかる費用負担について具体的な数字を出しながら話し合うことが有効です。 また、結納金に代わる、より現代的な方法を検討することも可能です。 例えば、旅行費用を負担する、新居の家具家電を贈る、など、金銭以外の形で感謝の気持ちを伝える方法も考えられます。

結論として、「結納金なしは誰が決めるか？」という問いに対する明確な答えはありません。 しかし、理想的なのは、新郎新婦が中心となり、両家の親を巻き込みながら、お互いの気持ちを尊重し、納得のいく形で決定することです。 それは、単なる金額の問題ではなく、結婚という人生における大きな転換期を、両家にとって幸せなスタートとするための重要なプロセスなのです。 大切なのは、形式よりも、互いの信頼関係と、これから共に歩む未来への誓いを確認することではないでしょうか。 そのためには、時間をかけて丁寧な話し合いを重ねることが不可欠です。