離婚していないのに別居を続けるとどうなる?

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離婚せずに別居を続けると、婚姻費用の増加や、離婚時の資産分割の縮小など、経済的な負担が増加する可能性があります。これは、別居中は財産を共有するため、片方の貯蓄が減少すると、離婚時に受け取れる金額も減少するからです。

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離婚しない別居の長期化:その先にあるもの

日本では、離婚届を出さないまま、夫婦が別々に生活する「別居」状態が珍しくありません。一時的な冷却期間として別居を選択する夫婦もいれば、様々な事情から離婚に至らず、ズルズルと別居生活が長引いてしまうケースも少なくありません。しかし、この「離婚しない別居」を長期化させることは、様々なリスクを孕んでおり、将来設計に大きな影を落とす可能性があります。

まず、経済的な負担の増大は避けて通れません。別居中は、生活費が二重にかかるため、それぞれが経済的に自立していない限り、大きな負担となります。特に、収入格差がある夫婦の場合、収入の少ない側は生活が苦しくなる可能性が高く、子供がいる場合はさらに深刻です。婚姻費用分担請求はできますが、必ずしも十分な金額が得られるとは限りません。また、別居中に一方だけが家計を支え続け、貯蓄を切り崩した場合、離婚時の財産分与で不公平が生じる可能性もあります。法律上は別居期間中も共有財産は増減し続けるため、片方の努力で築かれた財産も分与の対象となるからです。

次に、精神的な負担も無視できません。別居状態は、夫婦関係が宙ぶらりんの状態であり、将来への不安や孤独感に苛まれる可能性があります。特に、別居の理由が明確でない場合や、復縁の可能性が低い場合は、精神的なストレスが大きくなります。子供がいる場合は、両親の別居による精神的な影響も懸念されます。子供にとっては、両親が一緒にいないという状況は大きな不安やストレスとなり、情緒不安定や学業不振につながる可能性も否定できません。

法的にも、長期の別居は様々な問題を引き起こします。例えば、年金分割の対象となるのは、法律上の婚姻期間です。別居期間が長くても、離婚しない限り年金分割はできません。また、相続に関しても、配偶者は法定相続人ですが、長期間の別居は、家庭裁判所における相続分の決定に影響を与える可能性があります。つまり、法的に夫婦であるにも関わらず、実質的な夫婦関係が破綻している場合、配偶者としての権利が制限される可能性があるということです。

さらに、社会的な問題も発生する可能性があります。別居状態が長引くと、周囲の理解を得にくくなり、社会生活に支障をきたす場合があります。例えば、住宅ローンやクレジットカードの審査、賃貸契約などで、別居状態が不利に働く可能性があります。また、子供の学校行事や地域活動への参加など、夫婦として出席することが求められる場面で、気まずい思いをすることもあるでしょう。

では、どうすれば良いのでしょうか?別居状態を続けるのであれば、将来を見据えた話し合いが不可欠です。経済的な問題、子供の養育、将来の生活設計など、しっかりと話し合い、書面に残しておくことが重要です。また、離婚を視野に入れている場合は、弁護士などの専門家に相談し、適切なアドバイスを受けることが大切です。

別居は、夫婦関係を修復するための時間、あるいは新たな人生を始めるための準備期間となる可能性があります。しかし、漫然と別居状態を続けることは、様々なリスクを伴います。将来のためにも、現状をしっかりと見つめ、適切な選択をすることが重要です。