離婚率が1番高い国はどこですか？

なぜロシアは離婚率が高いのか？ その背景にある複雑な要因を紐解く

ロシアが世界で最も離婚率の高い国の一つであるという事実は、多くの人が抱く疑問でしょう。確かに、提示されたように2021年の離婚率が人口1000人あたり4.6人というのは、日本の2倍以上という数字からもその高さを物語っています。しかし、「社会経済的変化」という一言で片付けるには、この問題はあまりにも複雑で多岐にわたります。

ソ連崩壊後の混乱と価値観の変容：

ソ連崩壊は、ロシア社会に劇的な変化をもたらしました。計画経済の崩壊による貧困の拡大、失業率の増加、社会保障制度の弱体化は、多くの人々の生活を不安定にしました。未来への希望が見えにくくなり、精神的な余裕を失った人々は、家庭内でのささいな不和を乗り越えることが難しくなったと考えられます。

同時に、社会主義的な価値観の崩壊は、結婚に対する考え方にも変化をもたらしました。かつては社会的な義務として捉えられていた結婚は、個人の自由や幸福を追求する手段へと変化しました。これにより、我慢して結婚生活を続けるよりも、離婚を選ぶという選択肢がより受け入れられるようになったと考えられます。

男性の平均寿命の短さとアルコール依存症：

ロシアの男性の平均寿命は、他の先進国と比較して短いことが知られています。特に、アルコール依存症は深刻な社会問題であり、家庭内暴力や経済的困窮の原因となることも少なくありません。パートナーのアルコール依存症に苦しむ女性が離婚を選ぶケースは多く、これも高い離婚率の一因となっていると考えられます。

住宅事情と経済的自立の難しさ：

ロシアでは、住宅事情が悪い地域も多く、若い夫婦が親と同居せざるを得ない状況も珍しくありません。同居生活は、親世代との価値観の相違や生活習慣の違いから摩擦を生みやすく、離婚につながるケースも考えられます。

また、女性の経済的自立が難しいことも、離婚率に影響を与えている可能性があります。経済的に自立できない女性は、DVやモラハラなどの問題に直面しても、離婚に踏み切ることが難しい場合があります。しかし、近年は女性の社会進出が進み、経済的な自立を達成する女性が増加していることから、離婚という選択肢を選びやすくなっているとも考えられます。

法律の改正と離婚手続きの簡素化：

近年、ロシアでは離婚手続きが簡素化され、以前よりも離婚が容易になっています。これは、離婚へのハードルを下げる一方で、安易な離婚を助長しているという批判もあります。

まとめ：

ロシアの高い離婚率は、ソ連崩壊後の社会経済的変化、価値観の変容、男性の平均寿命の短さ、アルコール依存症、住宅事情、女性の経済的自立の難しさ、法律の改正など、様々な要因が複雑に絡み合って生み出された結果と言えるでしょう。単に「社会経済的変化」という一言で済ませるのではなく、それぞれの要因を深く理解することで、ロシアの離婚問題の根深さをより深く理解することができます。

今後の展望：

ロシア政府は、少子化対策の一環として、家族の価値を再認識させ、結婚を奨励する政策を推進しています。これらの政策が、離婚率の低下に繋がるかどうか、今後の動向が注目されます。