取りますの敬語は？

「取ります」の敬語表現について、状況別の使い分けと、より丁寧な言葉遣いのポイントを解説します。

「取ります」は、非常に汎用性の高い表現ですが、そのまま使うと、場合によっては失礼に聞こえる可能性があります。 相手への敬意や状況に合わせて適切な敬語を選べば、より丁寧で自然な会話や文章になります。

「取ります」の敬語表現は、大きく分けて謙譲語と尊敬語に分けられます。

謙譲語：

自分が行動することを、へりくだって表現する言葉です。 相手が何かを得るための行動、例えば、書類や資料、情報などを取得する際、自分がその行動を行うことを謙遜する際に使われます。

• 伺います (うかがいます): 情報を取得する場合に適しています。例えば、「資料を伺います」のように使います。ややフォーマルな印象を与え、重要な情報や、相手の努力の結果得られた情報に対して使うと良いでしょう。 「書類を伺います」というように、具体的な対象を付け加えるとより丁寧になります。「取ります」より、受け取る側の姿勢を表し、受け取る側が主体の印象になります。

• 参ります (まいります): 行動全体を謙遜する際に適しています。例えば、「会議資料を参ります」のように使います。「伺う」よりやや幅広い意味合いを持っています。何らかの活動や行動を始めることを、控えめな気持ちで表現しますので、会議に出席したり、資料に目を通したりするような、より大きな範囲の行動に適しています。 「取ります」というよりも、より深い意味合いを持ちます。「取ります」では表現できない「準備を整えて臨みます」といったニュアンスも含まれます。

尊敬語：

相手が行動することを、丁寧に表現する言葉です。 相手が何かを「取る」という行為を行う場合に、その行為を尊敬の念を込めて表現する際に使われます。

• お取りになる (おとりになる): 相手が何かを「取る」という行為を行う場合に最も適切な尊敬語です。例えば、「部長がお取りになる」のように使います。最も丁寧でフォーマルな表現になります。相手への尊敬の念を強く示したい場合や、重要な物事を対象にする場合に用いると効果的です。「お取りになります」と少し丁寧に表現する事も可能です。

• お持ちになる (おもちになる): 相手が何かを持ち帰る、または別の場所へ移動させるような場合に適しています。例えば、「部長がお持ちになる」のように使います。 受け取るという行為よりも、持ち出す行為に焦点が当たります。

状況別の使い分けとポイント：

• 上司への報告：上司が資料や情報を取得する場合であれば、「部長がお取りになります」や「部長がお持ちになります」と尊敬語を用いるのが適切です。
• 同僚との会話：同僚とのカジュアルな会話では、謙譲語や尊敬語を用いる必要はありませんが、状況に合わせて丁寧な言葉遣いをすることが重要です。「資料を貰います」や「資料を頂戴します」のような表現で丁寧さを保ちます。
• 顧客への対応：顧客とのビジネスにおいては、丁寧な言葉遣いが非常に重要になります。 尊敬語を用いることで、顧客に敬意を払い、良好な関係を築くことができます。 「資料を頂戴します」や「ご検討頂きます」といった表現で、より丁寧でプロフェッショナルな印象を与えます。
• フォーマルな文書：メールや報告書などのフォーマルな文書では、より丁寧な表現が必要です。「資料を拝見させていただきます」「資料をご確認申し上げます」など、謙譲語を適切に使用すると、より洗練された印象を与えます。

「取ります」という言葉そのものは、決して悪い言葉ではありません。しかし、状況や相手との関係性が分かれば、より適切な敬語表現を選ぶことで、相手に失礼なく、且つ、より丁寧な言葉遣いが可能になります。

常に状況を意識し、適切な敬語を選ぶことで、より洗練されたコミュニケーションを築くことができます。 上記の例以外にも、様々な敬語表現が存在しますので、必要に応じて辞書などを参照して、より適切な表現を選んでください。