古典で「かつ〜かつ」の意味は?

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「且つ且つ(かつがつ)」は、古典において「ともかく」「何はともあれ」「不満足ながら」といった意味合いで使用されます。必ずしも満足ではないものの、一応の目的を達成した、あるいは不承不承ながらも行動を起こす、といったニュアンスを表します。

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古典における「且つ且つ」の語義

古典文学において、「且つ且つ」は、現代語の「ともかくも」「何はともあれ」に近い意味合いで用いられる表現です。不十分ながらも目的を達成した、あるいは不本意ながら何らかの行動を起こすといったニュアンスを帯びています。

「且つ」という言葉は、本来「それだけでなく」「しかも」という、追加や強調を表す助詞です。しかし、「且つ且つ」の場合は、その意味が転じて、不満足ながらも一応の成果を得た、あるいは不承不承ながらも行動に出るといった、消極的なニュアンスを表すようになります。

この表現は、古来よりさまざまな古典作品に登場しています。例えば、平安時代の『源氏物語』では、光源氏がライバルの頭中将との恋に敗れた後の心境が、「且つ且つ侍りしは、心安からぬわざなれど」と表現されています。この場合の「且つ且つ」は、不本意ながら頭中将に屈したことを表しています。

また、鎌倉時代の『平家物語』では、平清盛が死の直前に語った言葉の中に、「且つ且つ、かやうの最期を遂げ候ふぞ、無念じや」という一節があります。ここでは、「且つ且つ」は、平清盛の死が不本意であるにもかかわらず、それを受け入れるしかないという諦めのニュアンスを帯びています。

このように、「且つ且つ」という言葉は、古典文学において、不満足ながら結果を受け入れたり、不本意ながら行動を起こしたりする際の、ある種の諦めや落胆を表す表現として用いられてきました。現代語の「ともかくも」「何はともあれ」と同様、その奥底には、不十分ながらも一応の解決策を見出したり、不承不承ながらも前進したりする、前向きな姿勢が垣間見えるのです。