「メロメロになる」の語源は?

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「メロメロ」の語源は鎌倉時代まで遡り、「めそめそ」や「めらめら」と同様に反復表現による擬態語と考えられます。 当初は「めろめろとはぐる」のように、薄く剥がれる様子などを表すなど、現代の「夢中になる」という意味とは異なる幅広い用法がありました。 時代と共に意味が変化し、現在の愛に溺れる様子を表現する言葉として定着したようです。

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メロメロになる:恋の魔法の言葉、その意外な語源

「メロメロになる」。甘く、少し滑稽な響きを持つこの言葉は、恋に落ちた時の心を表現するのにぴったりです。まるで魔法にかかったように、相手のことで頭がいっぱいになり、他のことが手につかなくなる。そんなうっとりとした状態を、これほど的確に表現できる言葉は他にないかもしれません。しかし、この「メロメロ」という言葉、一体どこから来たのでしょうか?その語源を探ってみると、意外な歴史と変遷が見えてきます。

現在広く知られている「メロメロになる」の意味、つまり「恋に夢中になる」「心を奪われる」といった意味での使用は、比較的新しいものです。実は、この言葉のルーツは鎌倉時代まで遡ると言われています。当時、「メロメロ」は「めそめそ」や「めらめら」といった擬態語と同様に、音の響きを繰り返すことで、ある状態や様子を表す言葉として使われていました。

初期の「メロメロ」は、現代の私たちが想像する甘い響きとは少し異なるニュアンスを持っていました。例えば、「めろめろとはぐる」という表現は、薄いものが剥がれる様子や、溶けるような状態を表す言葉として使われていました。木の皮がめろめろと剥がれる、氷がめろめろと溶ける、といった情景を想像してみてください。そこには、恋の甘さとは程遠い、むしろ少し寂しい、あるいは不安定なイメージが浮かび上がります。

また、「メロメロ」には「めろめろと泣く」といった使い方もされていました。これは「めそめそと泣く」とほぼ同義で、弱々しくすすり泣く様子を表しています。現代の「メロメロになる」とは全く異なる、悲しげなニュアンスが感じられます。

では、どのようにして「剥がれる」「溶ける」「泣く」といった意味を持つ「メロメロ」が、現代の「恋に夢中になる」という意味に変化したのでしょうか?

その過程ははっきりとは分かっていませんが、いくつかの推測がされています。一つは、心が「溶ける」ように相手に惹かれる様子から、恋愛感情を表す言葉へと変化したという説。もう一つは、恋の切なさや、胸が締め付けられるような苦しい感情を、「めろめろと泣く」様子に重ね合わせて表現するようになったという説です。

いずれにせよ、「メロメロ」という言葉は、時代と共にその意味を変化させ、様々なニュアンスを吸収しながら、現代の私たちが知る「恋に夢中になる」という意味に定着していきました。まるで、恋の魔法のように、その意味が変容し、甘く魅力的な響きを持つ言葉へと進化したのです。

現代では、漫画やアニメ、そして日常会話の中で頻繁に使われる「メロメロ」。その語源を探ることで、言葉の持つ奥深さ、そして時代と共に変化する言葉の面白さを再発見することができます。 次に「メロメロになる」という言葉を使う時、その背後にある歴史と変遷に思いを馳せてみると、また違った味わいを感じることができるかもしれません。