アジアのスマートフォン普及率は?

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博報堂の調査によると、アジア14都市における携帯電話・スマートフォンの保有率は9割以上と高いものの、スマートフォンの普及率は都市によって大きく異なっています。ソウルや香港では8割を超える一方、デリーやムンバイでは2割以下にとどまっています。

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アジアのスマートフォン普及率:都市ごとの格差と今後の展望

アジアにおけるスマートフォンの普及率は、一見すると非常に高い水準にあるように見えます。実際に、多くの調査で携帯電話全体の保有率は9割を超えており、通信インフラの浸透と人々の情報アクセス手段としての携帯電話の重要性を示しています。しかし、その内訳を見ると、スマートフォンに限定した場合、地域や都市によって驚くほど大きな格差が存在することがわかります。

たとえば、先進国に近い経済状況にあるソウルや香港といった都市では、スマートフォンの普及率が8割を超えるのに対し、インドのデリーやムンバイなど、新興国に位置する都市では2割以下に留まっているというデータがあります。この格差は、単に経済力の違いだけでは説明できません。

普及率格差を生む要因

  • 所得水準: スマートフォンは一般的にフィーチャーフォンよりも高価であり、可処分所得が低い層にとっては購入のハードルが高くなります。デリーやムンバイなどの都市では、依然として低所得層の人口が多く、経済的な理由からスマートフォンへの移行が進んでいないと考えられます。
  • 通信インフラ: 高速で安定したインターネット回線の普及度も、スマートフォンの利用を促進する上で重要な要素です。4G/5Gといった高速通信網が十分に整備されていない地域では、スマートフォンの機能を最大限に活用することが難しく、普及の妨げとなる可能性があります。
  • リテラシー: スマートフォンを使いこなすためには、ある程度の情報リテラシーが求められます。デジタルデバイドの問題とも関連しますが、情報弱者層にとっては、スマートフォンの多機能性がかえって負担となり、利用を躊躇させる要因となり得ます。
  • 言語とコンテンツ: スマートフォン向けのアプリケーションやコンテンツが、現地の言語に対応しているかどうかも普及に影響を与えます。ローカライズされたコンテンツが不足している場合、スマートフォンの利便性が十分に発揮されず、普及が進みにくいと考えられます。

今後の展望

しかし、アジア全体で見れば、スマートフォンの普及は今後も拡大していくと予想されます。その背景には、以下のような要因があります。

  • 低価格スマートフォンの登場: 中国メーカーを中心に、手頃な価格で購入できるスマートフォンが数多く登場しており、これまでスマートフォンを利用できなかった層にも手が届きやすくなっています。
  • 通信インフラの整備: 各国政府や通信事業者が、4G/5Gといった高速通信網の整備を積極的に進めており、スマートフォンの利用環境が改善されています。
  • デジタルリテラシー向上の取り組み: 各国で、デジタルリテラシー向上のための教育プログラムやキャンペーンが実施されており、スマートフォンを使いこなせる人材の育成が進められています。
  • 政府によるデジタル化推進: 多くの国で、行政サービスや教育、医療などの分野でデジタル化が進められており、スマートフォンを通じてこれらのサービスを利用する機会が増えています。

これらの要因が複合的に作用することで、アジアにおけるスマートフォンの普及率は今後も着実に上昇していくでしょう。特に、新興国市場における成長の余地は大きく、今後の動向が注目されます。ただし、普及率だけでなく、質の高いインターネットアクセスやデジタルリテラシーの向上も同時に進めることで、真に豊かなデジタル社会を実現していくことが重要です。