エアバス社の生産拠点はどこですか?

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エアバス社の主要生産拠点はフランス・トゥールーズにあり、A380最終組立工場もここにあります。しかし、機体パーツの製造は国際協力体制で、フランス国内に加え、ドイツ、イギリス、スペインといった欧州各国に分散されています。各拠点で製造されたパーツは、様々な輸送手段でトゥールーズへ集められ、最終組み立てが行われます。

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エアバス、グローバルに広がる生産拠点:機体はどのようにして生まれるのか?

エアバスの航空機は、単一の工場で魔法のように生まれるのではありません。その背後には、国境を越えた複雑なサプライチェーンと、高度な専門性を持つ様々な生産拠点が連携した壮大な物語が存在します。

確かに、南フランスのトゥールーズはエアバスの心臓部と言えるでしょう。本社機能に加え、象徴的なA380の最終組立工場(現在は生産終了)があることからも、その重要性は明らかです。しかし、トゥールーズはあくまで「最終目的地」であり、エアバス機を構成する数万点の部品は、ヨーロッパ各地の様々な場所で製造されています。

ドイツ: ドイツはエアバスにとって非常に重要な拠点です。ハンブルクはA320ファミリーの主要な組立ラインを抱え、同時に、機体の重要なセクション、特に胴体の製造を担っています。北部ドイツのシュターデでは、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)製の部品が製造されており、軽量化と燃費向上に大きく貢献しています。さらに、ミュンヘン近郊のオットブルンには、エンジン関連部品を製造する施設があり、エンジンメーカーとの連携も密接に行われています。

フランス: トゥールーズ以外にも、フランス国内には重要な拠点が存在します。サン=ナゼールでは、A320ファミリーやA350の機首部分が製造されています。ナントでは、複合材製の翼構造が製造されており、その高度な技術力が評価されています。これらの拠点は、革新的な素材と製造技術の研究開発にも力を入れており、エアバスの競争力維持に貢献しています。

イギリス: イギリスは、エアバスの翼の製造において中心的な役割を担っています。ブ Broughton(ブロートン)にある工場では、A320ファミリー、A330、A350、そしてA380(現在は生産終了)を含む、エアバス機のほぼすべての翼が製造されています。高度な自動化技術が導入されており、精密で高品質な翼の生産を実現しています。

スペイン: スペインは、エアバスの輸送機部門、特にA400M軍用輸送機の開発・製造において重要な役割を果たしています。また、ヘタフェにある工場では、A350の水平尾翼など、機体の重要な部品が製造されています。スペインは、エアバスの防衛・宇宙事業においても重要な拠点となっています。

部品の輸送: 各拠点で製造された部品は、特別な輸送手段でトゥールーズへ運ばれます。大型の部品は、専用の貨物船や、「ベルーガ」と呼ばれる特別な輸送機によって空輸されます。ベルーガは、そのユニークな形状から「空飛ぶクジラ」とも呼ばれ、機体の部品を安全かつ効率的に輸送するために設計されています。

このように、エアバスの生産拠点は、ヨーロッパ各地に分散し、それぞれの専門性を活かして機体の一部を製造しています。そして、高度なロジスティクスによって、これらの部品がトゥールーズに集結し、最終的に航空機として完成するのです。これはまさに、国際協力と高度な技術力の結晶と言えるでしょう。

エアバスの機体に乗る際には、ぜひその背後にあるグローバルなサプライチェーンと、それを支える人々の努力に思いを馳せてみてください。