ルーターがないとインターネットできないのはなぜですか？

ルーターなしでインターネットは本当にできないのか？ その理由と例外

インターネットを使う上で、ルーターは「必須アイテム」と言っても過言ではありません。家電量販店に行けば、様々な種類のルーターが並び、インターネット回線契約時には、プロバイダからレンタルを勧められることも多いでしょう。しかし、本当にルーターなしではインターネットに接続できないのでしょうか？

この記事では、ルーターがインターネット接続において果たす役割を詳しく解説するとともに、例外的なケースについても掘り下げていきます。

なぜルーターが必要なのか？ – IPアドレスという住所の分配

インターネット上の通信は、すべて「IPアドレス」という住所のようなものを使って行われます。各デバイス（パソコン、スマートフォン、ゲーム機など）は、インターネットに接続する際に、このIPアドレスを取得する必要があります。

家庭用のインターネット回線の場合、通常、プロバイダから割り当てられるIPアドレスは一つだけです。つまり、ルーターなしで直接モデムにパソコンを接続した場合、パソコンはそのIPアドレスを使ってインターネットに接続できますが、他のデバイスは接続できません。

ここでルーターの出番です。ルーターは、プロバイダから割り当てられた一つのグローバルIPアドレスを、家庭内の複数のデバイスで使用できるように、プライベートIPアドレスを割り振る役割を担います。これは、例えるなら、マンションの入り口がグローバルIPアドレスで、各部屋番号がプライベートIPアドレスのようなものです。ルーターは、各デバイスからの要求を適切な宛先に転送し、インターネットへのアクセスを可能にします。

ルーターの重要な機能 – NATとDHCP

ルーターが複数のデバイスをインターネットに接続するために重要な役割を果たす機能が、NAT (Network Address Translation) と DHCP (Dynamic Host Configuration Protocol) です。

• NAT: NATは、プライベートIPアドレスとグローバルIPアドレスを相互に変換する機能です。これにより、複数のデバイスが同じグローバルIPアドレスを共有しながら、インターネットに接続できます。
• DHCP: DHCPは、デバイスに自動的にIPアドレスを割り当てる機能です。これにより、デバイスごとに手動でIPアドレスを設定する必要がなく、簡単にインターネットに接続できます。

例外的なケース – ルーターが不要な場合

しかし、常にルーターが必要というわけではありません。以下のようなケースでは、ルーターなしでインターネットに接続できる場合があります。

• PPPoE機能を備えたパソコン: WindowsなどのOSには、PPPoE（Point-to-Point Protocol over Ethernet）というプロトコルを利用してインターネットに接続する機能が備わっている場合があります。この機能を使えば、モデムに直接パソコンを接続し、プロバイダから提供されたIDとパスワードを入力することで、インターネットに接続できます。ただし、この場合も接続できるのは一台のデバイスのみです。
• モバイルルーター: スマートフォンなどに搭載されているテザリング機能や、モバイルルーターと呼ばれる携帯型のルーターを利用すれば、複数のデバイスをインターネットに接続できます。これらのデバイスは、自身がグローバルIPアドレスを取得し、他のデバイスにWi-Fi経由でインターネット接続を提供します。
• 特定の光回線サービス: 一部の光回線サービスでは、ONU（光回線終端装置）にルーター機能が内蔵されている場合があります。この場合、ONUに直接デバイスを接続することで、ルーターなしでインターネットに接続できます。

まとめ

ルーターは、複数のデバイスで同時にインターネットを利用するために、ほぼ必須の機器と言えます。IPアドレスの分配、NAT、DHCPといった機能を通じて、家庭内のネットワークを管理し、快適なインターネット環境を提供します。しかし、PPPoE機能を備えたパソコンやモバイルルーター、ルーター機能内蔵型のONUなど、例外的なケースも存在します。ご自身の環境や利用状況に合わせて、適切な方法でインターネットに接続しましょう。