ルーターがないとインターネットは使えない？

ルーターがないとインターネットは使えない？ 結論から言えば、必ずしもそうではありません。しかし、インターネット利用の快適さや利便性を大きく損なうことは間違いありません。 この問いに対する答えは、あなたのインターネット接続の種類と、何台のデバイスでインターネットを利用したいかに大きく依存します。

まず、ルーターの役割を改めて考えてみましょう。ルーターは、単なるインターネットへの入り口ではありません。それは、インターネット回線を複数のデバイスで共有するための重要な中継点なのです。 インターネット接続サービス事業者（ISP）から提供されるインターネット回線は、一般的に単一のIPアドレスを持っています。これは、まるでマンションの入り口の住所のようなものです。マンション全体がインターネットに接続したい場合、各部屋（デバイス）に個別の住所（IPアドレス）を割り当てる必要があります。 ルーターはこの住所割り当てを行い、各部屋（デバイス）にインターネットへのアクセスを可能にする「マンション管理人」のような役割を果たしています。

ルーターがない場合、どうなるでしょうか？ 例えば、モデムに直接パソコンを接続した場合、そのパソコンだけがインターネットに接続できます。この時、モデムはルーターの機能の一部を担っている場合もありますが、それはあくまで限定的です。多くの場合、モデムは単にISPからの信号を受信し、それをパソコンに転送する役割に留まります。 他のスマートフォンやタブレット、ゲーム機などを同時にインターネット接続したい場合は、この方法では不可能です。 各デバイスに個別のIPアドレスが必要となるからです。

ただし、例外もあります。一部のISPでは、複数のデバイスを接続するための機能をモデムに搭載している場合もあります。これは、モデムがルーター機能の一部を統合していることを意味します。この場合、ルーターなしで複数のデバイスをインターネットに接続できる可能性があります。しかし、こうした機能は限定的で、多くの場合、同時接続できるデバイス数に制限があったり、機能が限定的であったりします。 安定した接続や高度なセキュリティ機能も期待できません。

さらに、接続方法によって状況が変わります。例えば、モバイルデータ通信（4G/5G）を利用する場合、スマートフォン自体がルーターの役割を果たすことができます。テザリング機能を用いることで、他のデバイスをスマートフォンのインターネット接続に接続できます。 これは、ルーターを必要とせずに複数のデバイスをインターネットに接続できる好例です。

しかし、テザリングは、モバイルデータ通信の容量を消費し、バッテリーを消耗しやすいというデメリットもあります。また、接続速度や安定性も、ルーターを用いた接続に比べると劣る場合が多いです。

結論として、ルーターは必ずしもインターネット接続に必須ではありません。しかし、複数のデバイスを同時に、安定して、そして安全にインターネットに接続したいのであれば、ルーターは不可欠な存在です。 ルーターは、単にインターネットに接続するだけでなく、ネットワークのセキュリティや管理、デバイス間の通信を円滑にする役割を担っており、快適なインターネット利用には欠かせない機器と言えるでしょう。 モデム単体では、インターネットへの接続自体は可能でも、現代のインターネット利用においては多くの制限があり、真の利便性を得るにはルーターが必要不可欠なのです。