令和6年の車検でヘッドライトの検査方法はどうなる？

令和6年（2024年）8月以降の車検におけるヘッドライト検査は、大きな変更を迎えます。従来、ロービームとハイビームの両方を点灯させて行われていた検査が、ロービームのみの計測に一本化されるのです。この変更は、検査の簡素化と効率化を目的としており、車検場や整備工場における作業負担軽減、ひいては車検にかかる時間短縮にも繋がると期待されています。しかし、この変更は単なる簡略化ではなく、新たな視点からの検査精度向上という側面も持っています。

具体的にどのような変化があるのでしょうか。従来の検査では、ロービームとハイビーム、それぞれについて光軸（光の向き）と照度（光の明るさ）を検査していました。光軸は、検査機器を用いてヘッドライトから発せられる光の向きが規定の範囲内にあるかを測定し、照度は、規定の距離に設置されたスクリーン上の照度を計測していました。ハイビームについては、ロービームと比較してより遠くまで明るく照らす能力が求められ、その照射範囲や明るさが検査対象でした。

しかし、令和6年からの新しい検査では、ハイビームの検査が廃止され、ロービームの光軸と照度のみが検査対象となります。これは、実際の走行状況において、ロービームの使用頻度が圧倒的に高く、安全確保に最も重要な要素だからです。ハイビームは、対向車や前走車が存在しない状況下で、より遠くを照らすために使用される補助的な機能であり、その検査を省略することで、検査時間を短縮し、検査の効率性を高めることが可能になります。

ただし、ロービームのみの検査になったからといって、安全基準が緩和されるわけではありません。むしろ、ロービームの光軸調整と照度管理の重要性が一層増すことになります。検査基準自体に変更はなく、従来通り、適切な光軸調整と十分な照度が求められます。そのため、車検前にヘッドライトの点灯状態や光軸を点検し、必要であれば調整することが非常に重要となります。 不適切な光軸調整は、対向車の眩しさの原因となり、交通事故のリスクを高める可能性があるためです。

また、この変更に伴い、整備工場側も新しい検査機器への対応や、検査手順の変更に備える必要があります。 旧式の検査機器では対応できない可能性があるため、更新や導入が必要になるケースも考えられます。 整備士の方々には、新たな検査方法に関する十分な研修と理解が求められるでしょう。

さらに、一般ドライバーにとっても、ヘッドライトのメンテナンスの重要性が増します。定期的なバルブの交換やレンズの清掃、そして必要に応じて光軸調整を行うことで、安全な運転を確保し、車検時の不合格を回避することが可能になります。 日頃からヘッドライトの状態に気を配り、安全運転に繋がる適切なメンテナンスを心がけましょう。 令和6年からの車検制度変更を正しく理解し、安全で快適なカーライフを送るために、 proactive な対応を心がけることが大切です。