新幹線が曲がる仕組みは？

新幹線が驚くほどスムーズにカーブを曲がれる秘密：フランジだけじゃない、高度な技術の結晶

新幹線が、あの速度でいとも簡単にカーブを曲がっていく姿は、何度見ても驚きです。記事冒頭で触れられているように、新幹線の車輪に付いている「フランジ」は、確かに重要な役割を果たしています。しかし、フランジだけに頼ってあのスムーズな走行を実現しているわけではありません。実は、新幹線のカーブ通過には、安全性と乗り心地を追求した、様々な高度な技術が組み込まれているのです。

フランジは、車輪がレールから脱線するのを防ぐ、最後の砦のような存在です。しかし、常にフランジがレールに接触している状態だと、騒音や振動が発生し、乗り心地が悪化してしまいます。そこで、新幹線では、まず車体そのものを傾けることで、遠心力を軽減する技術が採用されています。

車体傾斜システムは、カーブに差し掛かる際に車体を内側に傾け、乗客が感じる遠心力を打ち消す仕組みです。これにより、乗客はまるでカーブを曲がっていないかのような、自然な感覚で移動できます。車体傾斜システムには、大きく分けて「自然振り子式」と「制御振り子式」の2種類があります。

• 自然振り子式: 車体の重心を高く設定し、カーブで発生する遠心力によって自然に車体が傾くように設計されています。構造が比較的シンプルですが、傾斜角度の制御が難しく、乗り心地に影響が出ることもあります。
• 制御振り子式: センサーでカーブの情報を検知し、コンピューター制御によってアクチュエーターを駆動させ、積極的に車体を傾けます。より正確な傾斜制御が可能で、乗り心地も向上します。

新幹線では、走行する路線や車両の特性に合わせて、これらの車体傾斜システムが採用されています。

さらに、線路そのものにも工夫が凝らされています。カーブ区間では、カント（片勾配）と呼ばれる、レールに傾斜をつける構造が用いられています。これにより、車体がカーブに沿って傾きやすくなり、遠心力を軽減することができます。

また、レールと車輪の摩擦を軽減するために、潤滑油を自動的に塗布する装置が設置されていることもあります。これにより、フランジとレールの接触による騒音や振動を抑制し、乗り心地を向上させています。

これらの技術に加えて、新幹線のサスペンション（懸架装置）も重要な役割を果たしています。空気バネやオイルダンパーなど、高度なサスペンションシステムを採用することで、レールからの振動を吸収し、乗り心地を快適に保っています。

このように、新幹線がスムーズにカーブを曲がれるのは、フランジという安全装置の存在だけでなく、車体傾斜システム、カント、潤滑油、そして高度なサスペンションといった、様々な技術が組み合わされた結果なのです。これらの技術が、新幹線の安全性と快適性を支えていると言えるでしょう。