新幹線はガタンゴトン音がしないのはなぜですか？

新幹線はなぜガタンゴトンしない？ 静寂の舞台裏

新幹線に乗ると、その滑らかな走行と静粛性に驚かされます。在来線では当たり前のように聞こえる「ガタンゴトン」というジョイント音は、新幹線ではほとんど聞こえません。まるで魔法の絨毯に乗っているかのような感覚。この静寂の秘密はどこにあるのでしょうか？

最も大きな要因は、レールの構造にあります。在来線のレールは、一定の長さのレールを繋ぎ合わせて作られています。レール同士の接続部分には隙間があり、車輪がこの隙間を通過する際に「ガタンゴトン」という音が発生します。この隙間は、温度変化によるレールの伸縮を吸収するために設けられています。

一方、新幹線では、ロングレールと呼ばれる非常に長いレールが使用されています。このロングレールは、複数のレールを溶接して繋ぎ合わせることで作られ、ジョイントの数を大幅に減らしています。 東海道新幹線の場合、約20メートルから40メートルものレールを溶接し、全長数キロメートルにも及ぶロングレールを敷設しています。これにより、車輪がジョイントを通過する回数が減り、「ガタンゴトン」という音も減少するのです。

さらに、新幹線では、このロングレールをバラストと呼ばれる砕石の上に敷設し、その上にPCマクラギと呼ばれるコンクリート製の枕木を配置しています。このPCマクラギは、在来線で多く用いられる木製枕木よりも重量があり、振動を吸収する効果が高いです。バラストも、レールの振動を吸収し、騒音を低減する役割を果たしています。このバラストとPCマクラギの組み合わせが、新幹線の安定した走行と静粛性に貢献しているのです。

また、新幹線の車輪にも静粛化のための工夫が凝らされています。車輪は、弾性車輪と呼ばれる特殊な構造になっており、車輪内部にゴムを挟み込むことで振動を吸収しています。この弾性車輪は、レールとの摩擦音を低減する効果もあり、新幹線全体の静粛性に大きく寄与しています。

さらに、新幹線の車体自体も、空気抵抗を減らす流線型のデザインが採用されています。これにより、走行中の風切り音が軽減されます。車体内部にも、吸音材や遮音材が使用されており、車外からの騒音を効果的に遮断しています。

このように、新幹線が「ガタンゴトン」という音を立てずに静かに走行できるのは、レール、枕木、バラスト、車輪、車体など、様々な要素が組み合わさった結果です。これらの技術革新が、高速で快適な新幹線を実現しているのです。

新幹線に乗る機会があれば、ぜひその静粛性に耳を澄ませてみてください。そこには、日本の鉄道技術の粋が凝縮されていることを実感できるはずです。そして、その静寂の裏側には、快適な旅を提供するためのたゆまぬ努力と技術開発の歴史があることを思い出してみてください。 進化し続ける新幹線技術は、これからも私たちの旅をより快適で、よりスムーズなものへと導いてくれるでしょう。