新幹線 何万ボルト?

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新幹線の走行に必要な電力は、電力会社から供給される22万ボルトの高圧電力を、変電所で2万5千ボルトに降圧変換することで得られています。この変換された電力は、架線を通じて新幹線に供給され、力強い走行を可能にしています。

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新幹線を走らせる「2万5千ボルト」の謎 – なぜ22万ボルトではないのか?

新幹線が疾走する姿は、まさに日本の技術力の象徴です。その裏側には、高度な電力供給システムが隠されています。多くの人が「新幹線は一体何万ボルトで動いているのだろう?」と疑問に思うかもしれません。答えは、2万5千ボルト。しかし、電力会社から供給されるのは22万ボルトという高圧電力。なぜ、わざわざ降圧する必要があるのでしょうか?

その理由は、安全性と効率性の両立にあります。

高圧電力の危険性: 22万ボルトという超高圧電力を直接新幹線に供給することは、技術的に不可能ではありませんが、極めて危険です。絶縁技術や安全対策に莫大なコストがかかるだけでなく、万が一の事故が発生した場合、甚大な被害をもたらす可能性があります。

2万5千ボルトという選択: そこで、2万5千ボルトという電圧が選ばれました。この電圧は、新幹線車両に搭載された変圧器を通して必要な電力を供給できる十分な電圧でありながら、絶縁や安全対策のコストを抑えることができるバランスの取れた数値なのです。

架線の構造と電力供給の仕組み: 新幹線は、架線と呼ばれる電線から電気を受け取ります。架線は、パンタグラフと呼ばれる集電装置を通じて、車両に電気を供給します。このパンタグラフは、架線に常に接触している必要があり、そのために一定の圧力で架線に押し付けられています。

なぜ直流ではなく交流なのか?: 新幹線に供給される電力は、直流ではなく交流です。交流は、変圧器によって簡単に電圧を上げたり下げたりできるという利点があります。これにより、電力会社から供給される高圧電力を、新幹線に適した電圧に効率的に変換することができます。また、交流モーターは構造が簡単で、メンテナンスも容易であるという利点もあります。

さらなる効率化への挑戦: 近年では、電力効率のさらなる向上を目指して、様々な技術開発が進められています。例えば、SiC(炭化ケイ素)などの新しい素材を用いたパワー半導体の導入や、より効率的な変圧器の開発などが挙げられます。これらの技術によって、新幹線はますます省エネルギーで持続可能な交通手段へと進化していくことが期待されます。

新幹線の安全で快適な走行は、目に見えない電力供給システムの恩恵を受けています。2万5千ボルトという数字の裏には、安全性と効率性を追求した技術者たちの努力が詰まっているのです。次に新幹線に乗る際には、その高速性と快適性だけでなく、それを支える電力供給システムにも思いを馳せてみてはいかがでしょうか。