玉掛けの定格荷重とは？

玉掛けの定格荷重を徹底解説：安全な作業のために知っておくべきこと

玉掛け作業は、重量物をクレーン等で吊り上げるための重要な作業です。安全な玉掛け作業を行う上で、絶対に理解しておかなければならないのが「定格荷重」という概念です。しかし、単に「吊り上げられる最大の重さ」と理解しているだけでは、不十分な場合があります。本稿では、玉掛けにおける定格荷重について、より深く、かつ実践的に解説します。

定格荷重とは何か？ なぜ重要なのか？

冒頭で述べたように、定格荷重とは、クレーン等が安全に吊り上げられる最大の荷重から、吊り具自体の重さを差し引いた、実際に吊り上げられる荷物の最大許容重量のことです。

この定格荷重を守らないと、重大な事故に繋がる可能性があります。例えば、

• クレーン等の転倒: 定格荷重を超えた重量物を吊り上げると、クレーン等の安定性が失われ、転倒する危険性があります。
• 吊り具の破断: ワイヤーロープやチェーンなどの吊り具は、それぞれ許容荷重が定められています。定格荷重を超えた荷重をかけると、吊り具が破断し、落下事故に繋がる可能性があります。
• 荷物の落下: 吊り具やクレーン自体に異常が発生しなくても、バランスを崩して荷物が落下する危険性もあります。

これらの事故は、重大な人身事故や物的損害を引き起こす可能性があります。そのため、玉掛け作業を行う際には、必ず定格荷重を確認し、それを遵守することが極めて重要なのです。

定格荷重を確認する際の注意点

定格荷重は、クレーン等の取扱説明書や、機体に貼られているステッカーなどに記載されています。しかし、確認する際には以下の点に注意する必要があります。

• クレーン等の種類: クレーンには、天井クレーン、移動式クレーン、ジブクレーンなど、様々な種類があります。それぞれの種類によって定格荷重は異なります。
• 作業半径と揚程: クレーンは、作業半径（クレーンの旋回中心から吊り荷までの距離）や揚程（吊り上げ高さ）によって、定格荷重が変化します。作業半径が大きくなったり、揚程が高くなったりすると、定格荷重は小さくなるのが一般的です。必ず、作業条件に合った定格荷重を確認する必要があります。
• 吊り具の選定と組み合わせ: 玉掛けに使用する吊り具（ワイヤーロープ、チェーン、ベルトスリングなど）にも、それぞれ許容荷重が定められています。吊り具の選定はもちろん、複数の吊り具を組み合わせて使用する場合には、最も許容荷重の低い吊り具に合わせて、全体の荷重を調整する必要があります。
• 表示の確認: 長年使用されているクレーンなどは、ステッカーが剥がれていたり、表示が劣化している場合があります。定期的な点検で表示が正しく確認できる状態か確認することが大切です。もし判読できない場合は、メーカーに問い合わせるなどして、正確な情報を入手する必要があります。

定格荷重を超えないための対策

定格荷重を超えないためには、以下の対策を講じることが重要です。

• 吊り上げる荷物の重量を正確に把握する: 荷物に重量が記載されている場合は、それを参考にします。記載がない場合は、計量器を使用するなどして、正確な重量を測定する必要があります。
• 余裕を持った吊り具を選定する: 許容荷重ギリギリの吊り具を選ぶのではなく、余裕を持った吊り具を選定することで、安全性を高めることができます。
• 作業計画を事前に綿密に立てる: 作業前に、作業半径、揚程、使用する吊り具などを考慮した、詳細な作業計画を立てることが重要です。
• 玉掛け作業の資格を持つ作業員が作業を行う: 玉掛け作業は専門的な知識と技術が必要です。必ず、玉掛け作業の資格を持つ作業員が作業を行うようにしましょう。
• 作業前の点検を徹底する: クレーンや吊り具に異常がないか、作業前に必ず点検を行いましょう。異常が見つかった場合は、直ちに作業を中止し、修理または交換を行う必要があります。

まとめ

玉掛けにおける定格荷重は、安全な作業を行うための重要な指標です。定格荷重を守ることは、労働災害を防止し、安全な作業環境を確保するために不可欠です。本稿で解説した内容を参考に、定格荷重に対する理解を深め、安全な玉掛け作業を心がけてください。安全第一で作業を行い、労働災害ゼロを目指しましょう。

#安全荷重#定格荷重#玉掛け