自動運転レベル3を搭載している車種は？

自動運転レベル3搭載車：その現状と未来展望

自動運転技術は、自動車産業における一大革命として注目を集めていますが、その実用化は段階的に進められています。現在、国際的に定められた自動運転レベルは0から5まで存在し、レベル3は「条件付き運転自動化」と定義されています。これは、特定の条件下においてはシステムが運転操作の全てを担い、ドライバーはシステムの介入要求に適切に対応することで、運転から解放されるというものです。

しかし、現時点で自動運転レベル3を搭載し、一般販売された車種は極めて限られています。2021年にホンダが限定生産で発売した「LEGEND」が唯一の存在と言えるでしょう。このLEGENDに搭載された「Honda SENSING Elite」は、高速道路など特定の条件下において、ドライバーの監視なしにシステムが運転を代行する機能を備えていました。しかし、限定生産であり、価格も高額だったため、広く普及するには至りませんでした。

なぜ、他の自動車メーカーはレベル3の実用化に二の足を踏んでいるのでしょうか？その背景には、主に以下の要因が考えられます。

• 責任の所在の曖昧さ: レベル3では、システムが運転を代行している間に事故が発生した場合、誰が責任を負うのかという問題が複雑になります。システムに起因するのか、ドライバーの対応に問題があったのか、判断が難しいケースも想定されます。
• 技術的な課題: 特定の条件下での自動運転は可能になったものの、天候の変化や予測不能な事態への対応など、克服すべき技術的な課題がまだ多く残されています。
• 法規制の整備の遅れ: 自動運転技術の進化に法規制の整備が追いついていない状況も、メーカーが慎重な姿勢を取る理由の一つです。
• コストの問題: 高度なセンサーや制御システムを搭載する必要があるため、車両価格が高騰し、消費者のニーズに合致するかという懸念があります。

これらの課題を克服するため、各自動車メーカーはレベル2の高度化や、より安全性が高く責任の所在が明確なレベル4（高度運転自動化）の開発に注力する傾向にあります。レベル4は、特定の条件下だけでなく、より広範囲な状況でシステムが運転を代行し、ドライバーは基本的に介入を求められないため、レベル3よりも実用化しやすいと考えられています。

しかし、レベル3の研究開発自体が停滞しているわけではありません。各メーカーは、将来的な完全自動運転の実現を見据え、着実に技術開発を進めています。レベル3の経験は、レベル4以降の技術開発に不可欠な要素となるでしょう。

自動運転技術の進化は、私たちの生活を大きく変える可能性を秘めています。レベル3の実用化は、その過程における重要なステップであり、今後の動向に注目していく必要があります。技術的な課題の克服、法規制の整備、そして社会的な受容が進むことで、より安全で快適な自動運転社会の実現に近づくことができるでしょう。