音の鳴る信号機は全国に何個ありますか？

音の鳴る信号機、全国に今いくつ？メロディー式から変化する未来の音環境

「ピヨピヨ」「カッコー」といった音やメロディーで、視覚障碍者の方々に横断を知らせる音響式信号機。街中で耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか。しかし、かつて全国に2000基近く設置されていたメロディー式信号機は、警察庁の令和5年3月末時点の統計によると、わずか278基にまで減少しているとのことです。これは全国的な傾向であり、地域差はあれど、その数は確実に減っています。

では、なぜ音響式信号機、特にメロディー式は減少しているのでしょうか？その理由はいくつか考えられます。

• 老朽化による更新の必要性: 設置から年数が経ち、老朽化が進んでいる信号機が多く存在します。故障のリスクを考えると、新しいものへの交換が必要となります。

• 維持管理の困難さ: メロディー式信号機は、電子部品やスピーカーなど、複雑な構造を持っています。故障時の修理や部品の調達が難しく、維持管理に手間とコストがかかることが、更新を躊躇させる要因の一つです。

• 周辺住民への騒音問題: 特に住宅地に近い場所では、メロディーの音量が騒音として問題視されることがあります。生活環境への配慮から、音量の調整や停止を求める声も上がっています。

• 技術革新による代替手段の登場: 近年では、スマートフォンアプリや携帯型音声案内装置など、音響式信号機に頼らない代替手段が登場しています。これらの技術の進化により、必ずしも音響式信号機に頼らなくても、安全な横断が可能になりつつあります。

しかし、音響式信号機が完全に不要になるわけではありません。特に、スマートフォンなどの機器の操作に不慣れな高齢者や、情報端末を持ち歩かない方々にとっては、依然として重要な役割を担っています。

そこで、音響式信号機の未来は、単に数を減らすだけでなく、より良い音環境の提供へとシフトしていくと考えられます。例えば、

• 音量の自動調整機能: 周囲の騒音レベルに応じて、音量を自動的に調整する機能の導入。これにより、必要な時には聞こえやすく、騒音レベルが低い時には静かに、というように、状況に応じた最適な音量を提供できます。

• 指向性スピーカーの活用: 音の指向性を高めることで、信号を必要とする人にのみ音が届くように工夫する。これにより、周辺住民への影響を最小限に抑えられます。

• ユニバーサルデザインの推進: 視覚障碍者だけでなく、高齢者や聴覚過敏の方など、様々なニーズに対応できるような、より優しい音環境の実現を目指す。

音響式信号機は、単に「音を鳴らす」だけでなく、安全で快適な社会を実現するための重要なインフラです。技術の進歩を取り入れながら、より良い音環境を提供することで、音響式信号機は、これからも私たちの社会に貢献し続けるでしょう。今後は、メロディー式に変わる、新たな技術を活用した音響式信号機が登場するかもしれません。未来の音環境がどのように進化していくのか、注目していきたいところです。