CEマーキングの適用範囲は？

CEマーキングの適用範囲：欧州市場への製品参入における必須条件

CEマーキングは、欧州経済領域（EEA：EU加盟国 + アイスランド、リヒテンシュタイン、ノルウェー）で販売される特定の製品が、安全、健康、環境保護に関するEUの必須要件を満たしていることを示すマークです。このマークの付与は、製品が関連するすべてのEU指令に適合していることを製造者が宣言するものであり、製品の自由な流通を可能にするための重要な要素となっています。

「対象製品には、玩具、電気製品、機械、個人用保護具などが含まれます」と簡潔に述べられていますが、CEマーキングの適用範囲は非常に広く、具体的な製品カテゴリーは多岐にわたります。以下に、主な対象製品カテゴリーとその詳細について解説します。

主なCEマーキング対象製品カテゴリー：

• 玩具 (Toys): 3歳未満の子供向け、または子供が使用する可能性のある玩具全般。安全基準EN 71シリーズに準拠する必要があります。
• 電気・電子機器 (Electrical and Electronic Equipment): 家庭用電化製品、情報技術機器、照明器具など、様々な電気・電子機器が対象です。低電圧指令 (LVD) や電磁両立性指令 (EMC) への適合が求められます。
• 機械 (Machinery): 工業用機械、建設機械、農業機械など、動力を用いて動作する機械全般。機械指令への適合が必須であり、リスクアセスメントに基づいた安全対策が必要です。
• 個人用保護具 (Personal Protective Equipment: PPE): 作業用ヘルメット、安全靴、保護メガネ、呼吸用保護具など、作業者の安全を保護するための製品。PPE規則に基づき、リスクレベルに応じた適合性評価が必要です。
• 医療機器 (Medical Devices): 診断機器、治療機器、体外診断用医療機器など。医療機器規則 (MDR) に基づき、製品のクラス分類に応じた適合性評価が必要です。
• 建設製品 (Construction Products): セメント、鋼材、断熱材など、建築構造物に使用される製品。建設製品規則 (CPR) に基づき、性能特性の適合性評価が必要です。
• ガス器具 (Gas Appliances): ガスコンロ、給湯器、暖房器具など、ガス燃料を使用する器具。ガス器具規則に基づき、安全性能に関する適合性評価が必要です。
• 圧力容器 (Pressure Equipment): ボイラー、圧力タンクなど、加圧流体を貯蔵する容器。圧力機器指令 (PED) に基づき、圧力レベルに応じた適合性評価が必要です。
• 無線機器 (Radio Equipment): 無線LANルーター、携帯電話、無線トランシーバーなど、無線通信を行う機器。無線機器指令 (RED) に基づき、無線スペクトルの効率的な利用と電磁両立性が求められます。
• リフト (Lifts): エレベーター、エスカレーター、昇降機など。リフト指令に基づき、安全な運行と緊急時の対応に関する要件が定められています。

CEマーキングの重要性：

CEマーキングは、単なるマーク以上の意味を持ちます。これは、製造者が自社の製品がEUの法律に準拠していることを自己宣言するものであり、製品の信頼性と安全性を保証するものです。CEマーキングのない製品は、EEA市場での販売が認められません。

製造者の責任：

CEマーキングを付与する責任は、基本的に製造者にあります。製造者は、製品が関連するEU指令の要件を満たしていることを確認し、必要な技術文書を作成し、適合性評価を行い、CEマーキングを製品に表示する必要があります。

注意点：

• CEマーキングは、品質保証マークではありません。あくまで、EUの安全、健康、環境保護に関する必須要件への適合を示すものです。
• CEマーキングを不正に付与した場合、罰則が科せられる可能性があります。
• CEマーキングの要件は、EU指令の改正によって変更される場合があります。常に最新情報を確認することが重要です。

CEマーキングは、欧州市場へのアクセスを可能にするための必須条件であり、製造者にとっては重要な責任です。関連する指令を十分に理解し、適切な適合性評価を行うことが、製品の安全性を確保し、ビジネスの成功につながります。