QRコードの創業者は誰ですか?

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QRコードは、デンソーウェーブの原昌宏氏によって1994年に発明されました。当時、製造業は大量生産から多品種少量生産へと移行しており、部品管理の煩雑さが課題となっていました。自動車業界では特に部品点数が増加し、従来のバーコードでは対応しきれない状況を解決するために、QRコードが開発されました。

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QRコードの父、原昌宏:バーコードを超えた革新

QRコード。今や生活のあらゆる場面で目にするこの四角い模様は、私たちの生活を劇的に便利にしました。スマートフォンの普及とともに爆発的に広まり、商品情報へのアクセス、キャッシュレス決済、イベント参加登録など、その用途は多岐に渡ります。しかし、この革新的な技術を誰が、どのような背景で生み出したのかを知る人は意外と少ないのではないでしょうか。

QRコードの生みの親は、デンソーウェーブ(当時はデンソーの生産技術部門)に所属していたエンジニア、原昌宏氏です。1994年、自動車部品の管理効率化という課題に直面した原氏は、既存のバーコードの限界を超える新たなコード体系の開発に着手しました。バーコードは情報量が少ないため、部品の種類や製造工程など複雑な情報を記録するには不十分でした。当時、自動車業界は多品種少量生産へとシフトしており、部品管理の複雑化は深刻な問題となっていました。

原氏は、限られた面積でより多くの情報を記録できる二次元コードの開発に挑みました。開発にあたり、碁盤の目のような正方形のセルを配置し、白黒の組み合わせで情報を表現するというアイデアを考案しました。これは、碁盤の白黒が明確なコントラストを持ち、遠くからでも識別しやすいことに着想を得たと言われています。また、高速で読み取れることも重要な課題でした。そこで、QRコードの三隅に配置された「位置検出パターン」が大きな役割を果たします。このパターンにより、読み取り装置はコードの向きや位置を瞬時に認識し、どのような角度からでも高速に読み取ることが可能になりました。QRコードの名称にある「QR」は「Quick Response(クイックレスポンス)」の略であり、この高速読み取り性能を象徴しています。

開発当初は社内での利用が中心でしたが、インターネットの普及とともにQRコードの可能性は大きく広がりました。携帯電話にカメラが搭載されるようになると、QRコードを読み取ってウェブサイトにアクセスするといった使い方が一般化し、爆発的に普及しました。原氏はQRコードの特許を取得せず、無償で公開することを選択しました。この決断が、QRコードのグローバルスタンダード化を促進し、世界中で広く利用される礎を築いたと言えるでしょう。

QRコードの誕生は、単なる技術革新にとどまりません。それは、情報へのアクセス方法を変え、私たちの生活をより便利で豊かにしたと言えるでしょう。例えば、美術館で作品に付されたQRコードを読み取ることで、作品の詳細情報や作者の解説にアクセスできます。レストランではメニューのQRコードから注文ができ、接触機会を減らすことにも繋がります。また、災害時の情報伝達や偽造防止など、様々な分野での活用も進んでいます。

原氏の開発したQRコードは、常に進化を続けています。近年では、カラーQRコードやセキュリティ対策を強化したQRコードなど、新たな技術が開発されています。そして、未来に向けても、IoTやビッグデータとの連携など、更なる可能性を秘めていると言えるでしょう。原昌宏氏の先見の明と、社会貢献への強い思いが生み出したQRコードは、今後も私たちの生活に欠かせない存在であり続けるでしょう。