ひかりとこだまはどちらが速いですか？

新幹線「ひかり」と「こだま」、速度の秘密と停車駅のドラマ

東海道新幹線、開業当初から走り続ける「ひかり」と「こだま」。その名前が示す通り、「ひかり」は光速、「こだま」は音速を連想させますが、実際の速度差は一体どこから生まれるのでしょうか？単に停車駅の数が違うだけではない、両者の速度にまつわるドラマを探ります。

まず、基本に立ち返りましょう。「ひかり」と「こだま」の最大の違いは、停車駅の数です。「ひかり」は主要駅のみに停車し、東京と新大阪を約2時間30分で結びます。一方、「こだま」は全ての駅に停車するため、同じ区間を約3時間50分かけて移動します。単純計算でも、1時間20分以上の差が生じます。

しかし、停車駅の数が全てではありません。速度の裏には、ダイヤ編成の妙が隠されています。「ひかり」は、より速い速度で走行できるように、ダイヤが組まれています。具体的には、カーブでの減速を最小限に抑えたり、駅間距離の長い区間では最高速度を維持したりするなど、綿密な計算に基づいた運行計画が立てられています。

さらに、初期の「ひかり」は、最新技術の粋を集めた車両が投入されていました。軽量化された車体、強力なモーター、空気抵抗を減らす流線形のデザインなど、当時の技術を結集することで、最高速度を追求していたのです。もちろん、「こだま」も同じ車両を使用しますが、「ひかり」の方が、その性能を最大限に活かせるように運用されていたと言えるでしょう。

もう一つ忘れてはならないのが、利用者のニーズです。「ひかり」は、ビジネス客や観光客など、時間に余裕のない利用者をターゲットにしています。そのため、多少の運賃が高くても、速達性を重視する利用者が多く、「ひかり」の存在意義は大きいのです。

一方、「こだま」は、地域住民や、時間に余裕のある観光客など、比較的安価な運賃で移動したい利用者をターゲットにしています。各駅に停車することで、地域の活性化にも貢献しており、その存在は地域社会にとって欠かせないものとなっています。

「ひかり」と「こだま」。同じ東海道新幹線を走る二つの列車ですが、その速度差は、単なる移動手段の違いだけでなく、時代のニーズや技術革新、地域社会への貢献といった、様々な要素が複雑に絡み合って生まれた結果と言えるでしょう。次に新幹線に乗る際には、窓から見える景色と共に、それぞれの列車の役割や背景に思いを馳せてみてはいかがでしょうか。きっと、新しい発見があるはずです。