高齢者講習の認知症のテスト内容は？

高齢者講習の認知症テスト：手がかり再生と時間の見当識で安全運転能力を測る

75歳以上のドライバーが免許更新時に必ず受講する高齢者講習。その中で実施される認知機能検査は、安全運転能力を維持しているかを判断するための重要なステップです。以前は「時計描写テスト」が含まれていましたが、2022年5月の道路交通法改正に伴い廃止され、現在は「手がかり再生」と「時間の見当識」の2つのテストで構成されています。この記事では、それぞれのテスト内容と、検査結果が運転免許にどう影響するのかを詳しく解説します。

1. 手がかり再生：記憶力と注意力をチェック

手がかり再生テストは、複数のイラストと単語を記憶し、一定時間後に思い出す能力を測るものです。具体的には、動物や果物などのイラストと、それに関連する単語（例：りんごのイラストに「あかい」）が数組提示されます。受講者はこれらの組み合わせを一定時間記憶した後、イラストだけを見て対応する単語を思い出す、という流れです。

このテストは、単なる記憶力だけでなく、情報を整理し、必要な時に適切に引き出す能力も評価します。運転中には、標識や周囲の状況など、様々な情報を瞬時に把握し、適切な行動をとる必要があります。手がかり再生テストは、このような状況に対応できる認知機能が維持されているかを判断するための指標となるのです。

高齢になると、記憶力の低下は避けられない側面もあります。しかし、日常生活で意識的に記憶力を鍛えることで、このテストで良い結果を出すことは可能です。例えば、買い物リストを作らずに買い物をしたり、新聞記事を要約して記憶したりするなど、日常的な習慣に取り入れることで効果が期待できます。

2. 時間の見当識：現実把握能力をチェック

時間の見当識テストは、現在の年月日、曜日、時刻を正しく認識できるかを評価します。運転においては、時間感覚の正確さは非常に重要です。例えば、目的地までの所要時間を予測したり、日没時刻を考慮して運転計画を立てたりする際に、正確な時間認識が不可欠です。

このテストは一見簡単に見えますが、認知機能の低下により時間感覚が曖昧になる高齢者も少なくありません。日常生活で時計を見ない、カレンダーを確認しないといった習慣が、時間の見当識の低下につながる可能性があります。そのため、意識的に時計やカレンダーを確認する習慣をつけ、現在の時間や日付を認識するよう心がけることが重要です。

3. 検査結果と免許への影響

これらのテストの結果は、単独で合否が決まるわけではなく、総合的に判断されます。認知機能の低下が認められた場合、「臨時適性検査」を受けるよう指示されることがあります。これは、運転技能だけでなく、認知機能を含めた運転適性をより詳細に検査するものです。臨時適性検査の結果によっては、免許の停止や取消しとなる可能性もあります。

高齢者講習の認知機能検査は、決してドライバーを排除するためのものではなく、安全運転を継続するためのサポートの一環です。自身の認知機能の状態を客観的に把握し、必要に応じて運転の仕方を見直したり、認知機能の維持・向上に努めたりすることで、安全で快適なカーライフを長く楽しむことができるでしょう。

早期発見、早期対応が重要です。心配な方は、かかりつけ医や専門機関に相談してみるのも良いでしょう。

この記事では、高齢者講習における認知機能検査の現状を詳しく解説しました。安全運転を継続するためにも、自身の認知機能の状態を理解し、適切な対策を講じることが重要です。