Eitherとanyの違いは?

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英文契約書で頻出する「either」と「any」は共に「いずれか一方」を意味しますが、使い分けが重要です。「either」は選択肢が2つの場合、「any」は3つ以上の選択肢がある場合に用いられます。この区別を理解することで、契約書の正確な解釈と作成に繋がります。誤用は契約内容の不整合を招く可能性があるため注意が必要です。

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英語契約書で迷う「Either」と「Any」:その微妙な違いと使い分け

英文契約書を読んでいると、”either” と “any” に頻繁に出くわします。どちらも日本語では「いずれか」「どれでも」といった意味で訳されることが多く、一見 interchangeable(交換可能)に見えます。しかし、契約書の世界ではこの二つの単語は明確なニュアンスの違いを持っており、その使い分けを誤ると契約内容の解釈に大きな影響を及ぼす可能性があります。

本稿では、”either” と “any” の違いを、具体的な例文を交えながら解説し、契約書作成・解釈における注意点について掘り下げていきます。

2つの選択肢なら “Either”

“Either” は選択肢が 2つ に限定されている場合に使用します。AまたはB、どちらか一方を選択できる状況を指します。

  • Either A or B: AまたはB
  • Either party may terminate this Agreement: いずれかの当事者(2つの当事者間)はこの契約を終了できる。
  • The buyer may choose either the blue product or the red product: 購入者は青い製品か赤い製品のいずれかを選択できる。

このように、”either” は二者択一を明確に示す際に用いられます。契約書では、当事者間の権利義務や選択肢を限定的に示す際に効果的です。

3つ以上の選択肢なら “Any”

一方、”any” は選択肢が 3つ以上 ある場合、もしくは 不特定多数 から選択できる場合に使用します。

  • Any of A, B, and C: A、B、Cのいずれか
  • Any director may call a meeting: どの取締役も(3名以上いる取締役の中から)会議を招集できる。
  • The seller may deliver the goods to any port in Japan: 売主は日本のどの港にも商品を配送できる。

“any” を使用することで、複数の選択肢の中から自由に選択できることを表現できます。契約書では、広範な権利や義務を規定する際に役立ちます。

さらに深掘り:注意点と使い分けのヒント

“Either” と “any” の基本的な違いは上記の通りですが、実際にはより複雑な状況も存在します。以下、注意すべき点と使い分けのヒントをいくつか紹介します。

  • “Either” の後に続く名詞の数: “Either” の後に続く名詞が単数形の場合は単数扱い、複数形の場合は複数扱いとなります。例えば、”Either party is responsible…” (いずれの当事者も責任を負う) と “Either of the parties are responsible…” (いずれの当事者も責任を負う) はどちらも文法的に正しい表現です。

  • “Any” と否定文: “Any” は否定文で「どれも〜ない」という意味になります。”No” と同様に使用されるケースもありますが、微妙なニュアンスの違いに注意が必要です。”No director may call a meeting without prior notice” (事前の通知なしに取締役は会議を招集できない) は、一切の例外を認めない強い否定を表します。一方、”Any director may not call a meeting without prior notice” (どの取締役も事前の通知なしに会議を招集することはできない) は、個々の取締役の行動を制限するニュアンスが強くなります。

  • 文脈による判断: 最終的には、文脈によって “either” と “any” のどちらが適切かを判断する必要があります。契約書の全体像を理解し、個々の条項の意図を正確に把握することが重要です。

“Either” と “any” の使い分けは一見些細な点に思えるかもしれません。しかし、契約書においては、これらの小さな違いが大きな法的効果の違いを生み出す可能性があります。契約書を作成する際には、それぞれの単語のニュアンスを正しく理解し、適切に使い分けるように心がけましょう。また、契約書を読む際にも、これらの単語に注意を払い、契約内容を正確に理解するように努めましょう。