ベトナムで有名な野菜は？

ベトナムの食卓を彩る、知られざる野菜たち

ベトナム料理といえば、フォーや生春巻き、バインミーなどが思い浮かびますが、その美味しさを支えているのは、新鮮な野菜の存在です。日本でもお馴染みの野菜に加え、独特の風味や食感を持つベトナム固有の野菜も多く、その種類は驚くほど豊富です。今回は、ベトナムの食文化に深く根ざした、あまり知られていない魅力的な野菜たちをご紹介します。

水辺の恵み：ディエンディエン（Điên điển）

メコンデルタ地帯でよく食べられるディエンディエンは、小さな黄色い花を咲かせる水草の一種です。独特のぬめりとほのかな苦みが特徴で、スープやサラダ、炒め物など様々な料理に使われます。特に、酸味のあるスープ「 canh chua 」との相性は抜群で、その風味を一層引き立てます。水揚げされたばかりの新鮮なディエンディエンは、シャキシャキとした食感が楽しめ、まさにベトナムならではの味覚と言えるでしょう。

森の宝物：マンター（Măng tre）

ベトナム語で「竹の子」を意味するマンターは、様々な種類の竹から採れます。日本の竹の子と同様に、アク抜きが必要ですが、手間をかけた分だけ美味しく味わうことができます。煮物や炒め物はもちろん、発酵させて保存食として活用されることもあります。特に山間部では貴重な食材として重宝されており、その土地ならではの調理法で食されています。

鮮やかな緑：ラロット（Lá lốt）

独特の香りが特徴的なラロットは、葉を食べるハーブの一種です。ベトナム中部でよく使われ、肉を包んで焼いた「 bò lá lốt 」が有名です。ラロットの葉で包まれた牛肉は、香ばしい香りとジューシーな肉汁が口の中に広がり、忘れられない味わいです。また、ラロットは薬草としても利用されており、消化促進や解熱効果があると言われています。

大地の実り：ホア・スア・ドゥ・ドゥ（Hoa sưa đu đủ）

パパイヤの花であるホア・スア・ドゥ・ドゥは、ベトナムでは珍味として知られています。ほのかな苦みと独特の食感があり、炒め物やサラダとして食べられます。市場では生のまま売られていることもありますが、下処理が必要なため、レストランで食べるのが一般的です。栄養価も高く、ビタミンやミネラルが豊富に含まれています。

ベトナムの野菜は、その多様な気候風土を反映し、それぞれが独特の風味と栄養価を持っています。これらの野菜を通して、ベトナムの食文化の奥深さに触れてみてはいかがでしょうか。