ベトナムのトイレ事情は?

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ベトナム、特にハノイのトイレは、日本とは異なります。高級ホテルやレストランでは洋式水洗トイレが一般的ですが、その他では桶で水を流す方式が多く、トイレットペーパーは備え付けられていない場合や、使用後ゴミ箱に捨てるのが習慣です。郊外では和式トイレも一般的です。

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ベトナムのトイレ事情:多様性と変化の狭間

ベトナムのトイレ事情は、一言で言い表すのは難しい。観光客にとって、そしてベトナムに住む人々にとっても、それは多様性に富み、場所によって大きく異なる体験となるからだ。日本のような清潔感と均一性を期待すると、少なからずカルチャーショックを受ける可能性がある。しかし、その違いを知ることで、より快適で、そして文化理解を深める旅になるだろう。

高級ホテルや国際的なレストラン、ショッピングモールといった都市部の一部の場所では、日本と同様に洋式水洗トイレが標準的に設置されている。清潔で快適さは、日本と遜色ないレベルと言えるだろう。しかし、街の小さな食堂やローカルマーケット、そして特に郊外に足を踏み入れると、状況は一変する。

最も一般的なのは、蹲踞式(和式)トイレと、穴の開いた床に直接排泄するタイプのトイレである。これらは、ベトナムでは古くから使用されてきた伝統的なスタイルであり、現在でも広く普及している。特に農村部では、これらのタイプのトイレが主流だ。これらのトイレは、清潔感という点では日本のトイレとは大きく異なる。常に清潔に保たれているとは限らず、時には衛生面に不安を感じることもあるだろう。

そして、もう一つの特徴的な点が、水洗トイレであってもトイレットペーパーが備え付けられていない、あるいはあっても使用後にゴミ箱に捨てる必要があるという点である。これは、下水システムの整備状況と密接に関係している。ベトナムでは、下水管の詰まりを防ぐために、トイレットペーパーをトイレに流さない習慣が根付いているのだ。多くのトイレには、ゴミ箱が設置されており、使用済みのトイレットペーパーをそこに捨てることが期待されている。初めてベトナムを訪れる旅行者にとっては、この習慣に戸惑うかもしれないが、これは文化的な違いとして理解する必要がある。

さらに、水洗トイレの場合でも、水はバケツや桶を使って手動で流す必要がある場合が多い。これは、水道圧が低い地域や、古い建物のトイレではよくある光景である。そのため、トイレを使用する際には、水を流すためのバケツや柄杓が用意されているかを確認する必要がある。

近年、ベトナムでは都市部を中心に、近代的な水洗トイレの普及が進んでいる。しかし、依然として地方部では伝統的なトイレが主流であり、トイレ事情の格差は大きい。この格差は、経済発展の度合いと、下水システムの整備状況を反映していると言えるだろう。

最後に、旅行者としてベトナムのトイレを使用する際のアドバイスとしては、ウェットティッシュや携帯用除菌スプレーなどを持ち歩くことが推奨される。また、トイレの使用前には、清潔さを確認し、必要に応じて清掃することも考慮する必要がある。そして、何より重要なのは、現地の習慣を尊重し、使用済みのトイレットペーパーを適切に処理することだ。

ベトナムのトイレ事情は、発展途上にある国ならではの現実を反映している。日本のような快適さを常に期待することはできないが、その違いを理解し、適切な対応をすることで、旅行中の不快感を最小限に抑えることができるだろう。 そして、これらの違いを通して、ベトナムの文化の一面を垣間見ることができるのも、また事実である。