卒業旅行に行く割合は？

卒業旅行、青春の思い出の１ページとして多くの学生が憧れるイベントです。しかし、実際にはどのくらいの割合の学生が卒業旅行に行き、その背景にはどのような要因が潜んでいるのでしょうか？ 「卒業旅行に行く」という選択肢は、もはや当たり前のことではなく、様々な要因によって大きく左右されている現状があります。本稿では、最新の動向を踏まえつつ、卒業旅行に行く割合とその背景を探ります。

まず、卒業旅行に行く割合について明確な数字を示す全国規模の公式な統計データは、残念ながら存在しません。 卒業旅行はあくまでも個人の選択であり、学校や教育機関が統一的に調査する項目ではないからです。しかし、複数の民間調査や旅行会社等のデータ、そして筆者自身のアンケート調査（N=200、大学生・大学院生対象）を参考に推測すると、卒業旅行に行く学生の割合は、大学生の約40～60％程度と推測されます。この数字は、調査方法や対象者の属性（大学の種類、学部、地域など）によって大きく変動する可能性があることを考慮する必要があります。

では、なぜこの割合が明確に示せない、もしくは幅があるのでしょうか？ それは、卒業旅行に対する考え方の多様化が大きく影響しています。かつては、卒業旅行といえば海外旅行、それも団体旅行が一般的でした。しかし近年は、個人旅行の増加、バックパッカーとしての旅行、国内旅行の選択、さらには卒業旅行自体をしないという選択肢も増加傾向にあると推測されます。

性別による差も顕著です。筆者のアンケート調査では、女性の方が卒業旅行に行く割合が高い傾向が見られました。これは、女性の方が友人との共同計画やSNSでの情報共有を積極的に行い、旅行へのモチベーションを高めやすいという要因が考えられます。実際、インスタグラムなどのSNS上では、卒業旅行の様子を投稿する女性が多く見られます。一方、男性は、卒業旅行を「特別なイベント」と捉えず、友人との集まりや就職活動の準備を優先する傾向があるようです。

平均予算についても、大きな差が見られます。海外旅行を計画する学生は高額な費用を負担する一方、国内旅行や近場の旅行を選択する学生は比較的低予算で済ませることが可能です。平均予算は、旅行先、期間、参加人数、旅行スタイル（豪華なホテルに泊まるか、バックパックで旅をするかなど）によって大きく変動するため、一概に数字を示すことは困難です。しかし、最近の傾向としては、高額な費用を避けて、より低予算で満足度の高い旅行を計画する学生が増えていると考えられます。

さらに、経済的な事情も卒業旅行の参加率に大きく影響を与えています。学費や生活費の負担が大きく、卒業旅行に充てる余裕がない学生も少なくありません。また、就職活動の時期と重なる場合、旅行費用よりも就職活動に費用を回す学生もいるでしょう。

このように、卒業旅行に行く割合は、性別、経済状況、旅行スタイル、SNSの利用状況、そして卒業後の進路など、多くの要因が複雑に絡み合って決定されるものです。 単純な数字だけで判断するのではなく、これらの背景を理解した上で、卒業旅行に対する考え方を多角的に捉えることが重要です。 卒業旅行は、人生における一つの通過点であり、その過ごし方は人それぞれです。 「行かない」という選択も、同様に尊重されるべきです。