大韓航空はどこのグループ？

大韓航空はどこのグループ？：韓進グループからハンジンKALへ

大韓航空といえば、韓国を代表する航空会社として、世界中にその翼を広げています。しかし、その背後にあるグループ構造については、意外と知られていないかもしれません。かつては巨大財閥「韓進グループ」の中核企業でしたが、経営体制の変革を経て、現在は「ハンジンKAL」という持株会社傘下に収まっています。この記事では、大韓航空のグループ変遷と、現在のハンジンKALグループの事業内容について詳しく見ていきましょう。

かつて大韓航空は、海運、物流、ホテルなど多岐にわたる事業を展開する巨大財閥「韓進グループ」の中核を担っていました。創業者の趙重勲氏から二代目の趙亮鎬氏へと受け継がれたグループ経営は、韓国経済の成長と共に規模を拡大していきました。しかし、2010年代後半、オーナー一族による不祥事や経営の行き詰まりが表面化し、グループ全体が深刻な危機に陥ります。特に海運事業の中核であった韓進海運の破綻は、世界的な衝撃を与えました。

この危機を乗り越えるため、大韓航空はグループ構造の抜本的な改革に乗り出しました。2019年、韓進グループから航空事業を中心とした企業を分離し、新たに持株会社「ハンジンKAL」を設立。大韓航空は、このハンジンKALの傘下に入り、グループの新たな中核企業としての役割を担うことになりました。この再編により、従来の複雑なグループ構造が簡素化され、経営の透明性と効率性の向上が図られました。

現在、ハンジンKALグループは、航空運輸事業を中核に、航空宇宙事業、ホテル事業、旅行事業など、多角的に事業を展開しています。大韓航空以外にも、格安航空会社（LCC）のジンエアーもグループ傘下にあり、多様な顧客ニーズに対応しています。また、航空機の整備や製造を行う航空宇宙事業にも力を入れており、将来の成長を見据えた投資を行っています。

さらに、グループのシナジー効果を高めるため、ホテル事業や旅行事業も積極的に展開しています。空港周辺や観光地に立地するホテルは、大韓航空の利用客にとって利便性が高く、グループ全体の収益向上に貢献しています。また、旅行代理店を通じて、航空券とホテル、観光プランを組み合わせたパッケージツアーを提供するなど、顧客へのワンストップサービスの提供にも力を入れています。

ハンジンKALグループは、過去の経営危機を教訓に、持続可能な成長を目指し、ガバナンスの強化にも取り組んでいます。外部取締役の導入や社外委員会の設置など、経営の透明性を高めるための様々な施策を実施しています。また、環境問題への意識の高まりを受け、持続可能な航空燃料（SAF）の導入やCO2排出量削減に向けた取り組みにも積極的に取り組んでいます。

大韓航空は、ハンジンKALグループの中核企業として、安全運航を第一に、高品質なサービスを提供し続けています。そして、ハンジンKALグループは、航空事業を基盤に、多様な事業を展開することで、更なる成長を目指しています。今後のグループの発展に、ぜひ注目していきましょう。