新幹線のこだまのメリットは？

新幹線の「こだま」は、東海道新幹線や山陽新幹線を走る、全駅停車の新幹線です。速達性の高い「のぞみ」や「ひかり」と比べ、所要時間は長くなりますが、その分、料金が安く、利便性も高いという独自のメリットを備えています。本稿では、こだまを利用するメリットについて、深く掘り下げて考察します。

まず、最も大きなメリットは価格の安さです。こだまは、のぞみ、ひかりと比べて格段に料金が安価に設定されています。これは、全駅停車という運行形態が大きく影響しています。速達性を重視する列車は、停車駅を絞ることで運行時間を短縮し、その分、高い収益性を追求できます。一方、こだまは、多くの駅に停車するため、運行時間は長くなりますが、その分、価格を抑えることで、より幅広い層の利用者を確保することを目指しています。特に、長距離移動ではなく、近距離～中距離の移動を目的とする場合、こだまの価格優位性は非常に魅力的です。予算を抑えたい旅行者や、頻繁に新幹線を利用する通勤・通学利用者にとって、このコストパフォーマンスは無視できません。

次に、全駅停車という点から生まれる利便性の高さです。こだまは、主要駅だけでなく、小さな駅にも停車します。これは、観光旅行において大きなメリットとなります。主要観光地へのアクセスはもちろん、地方の小さな町や、秘境駅に容易にアクセスできる点が、こだまの大きな魅力です。のぞみやひかりではアクセスが困難な場所も、こだまを利用することで、容易に観光地を巡ることが可能です。例えば、東海道新幹線沿線では、歴史的な町並みを残す駅や、自然豊かな景勝地へのアクセスが容易になります。事前に旅程を綿密に計画しなくても、思いつきで途中下車し、観光を楽しむことができる柔軟性も、こだまならではの利点です。

また、自由席の車両比率が高いことも、こだまのメリットの一つです。のぞみ、ひかりと比べると、自由席の座席数が多い傾向にあります。これは、全駅停車によって乗客の乗車・降車頻度が高いため、満席になる可能性が比較的低いことに起因します。そのため、特に事前に予約せず、急な乗車が必要になった場合でも、座って移動できる可能性が高いと言えるでしょう。混雑を避けて快適な旅をしたい、というニーズにも、こだまは十分に応えてくれます。

さらに、こだまは、比較的ゆったりとした時間の中で旅を楽しみたい人にもおすすめです。速達性を重視した列車とは異なり、のんびりとしたペースで車窓の景色を眺めたり、読書をしたり、あるいは、隣席の乗客との会話を楽しむこともできます。慌ただしい日常を離れ、旅の時間を満喫したい人にとっては、こだまのゆったりとした運行スタイルは、大きな魅力となるでしょう。

ただし、こだまのデメリットとして、所要時間が長くなる点は無視できません。時間重視の旅行者には、のぞみやひかりが適しているでしょう。しかし、時間よりも費用や利便性を優先する旅行者にとって、こだまは最適な選択肢となります。それぞれのニーズに合わせて、最適な新幹線を選ぶことが重要です。

結論として、こだまは、価格、利便性、自由席の確保のしやすさ、そしてゆったりとした旅の時間を求める旅行者にとって、非常に魅力的な選択肢です。 時間よりも、旅の過程やコストパフォーマンスを重視するならば、こだまは最適な新幹線と言えるでしょう。