旅行会社大手5社は？

日本の旅行業界は、グローバル化やデジタル化の波を受けつつも、依然として大手が重要な役割を担っています。しかし、「大手」の定義は売上高や従業員数、取り扱い旅行者数など、複数の指標で測ることができ、明確なランキングは存在しません。 ここでは、売上高、ブランド認知度、サービスの広がりなどを考慮し、日本の旅行業界を牽引する5社を挙げ、それぞれの強みと特徴を掘り下げていきます。 なお、単純な順位付けは避け、それぞれの企業が持つ独自性を重視した解説とします。

まず、誰もが知る老舗、JTB（ジェイティービー）です。国内旅行から海外旅行、そしてビジネス旅行まで、幅広いニーズに対応する総合旅行会社として圧倒的なブランド力を持っています。長年に渡る豊富な実績とグローバルネットワークは、他社が追随しにくい強みです。特に、海外旅行においては、独自のネットワークと交渉力から、他社では入手困難なツアーや航空券を確保できる点が魅力です。近年は、デジタル化にも積極的に取り組んでおり、オンラインでの予約システムの強化や、AIを活用したパーソナライズされた旅行提案など、顧客体験の向上に努めています。しかし、その規模ゆえに、きめ細やかな対応が不足するとの声も耳にすることがあるため、顧客のニーズへの的確な対応が今後の課題と言えるでしょう。

次に、近畿日本ツーリスト（KNT）です。JTBと並ぶ業界の双璧として、国内外問わず多くの旅行プランを提供しています。JTBとは異なる独自の強みとして、グループ旅行やインセンティブ旅行などの企画力が高い点が挙げられます。企業向け研修旅行や社員旅行などを手掛ける実績は豊富で、大規模なイベントやツアーの運営ノウハウは業界トップクラスです。近年は、若い世代をターゲットとした、個性的なテーマの旅行商品開発にも力を入れており、ブランドイメージの刷新にも成功しつつあります。

3社目は、東武トップツアーズです。東武鉄道グループの傘下にあることから、鉄道関連の旅行商品が豊富で、特に東武鉄道沿線エリアの旅行プランは充実しています。アクセス抜群の駅に店舗を持つ利便性も高く、地域密着型のサービスを強みとしています。 近年は、高齢者向けの旅行商品や、ゆったりとしたペースで観光を楽しめるツアーなど、特定の顧客層に特化したサービス提供にも力を入れており、ニッチな市場開拓に成功しています。

そして、地域に根ざした強みを持つ企業として、日本旅行東北と名鉄観光サービスを取り上げます。日本旅行東北は東北地方を拠点に、その地の魅力を熟知したスタッフによる、質の高いサービスを提供しています。地方ならではの観光資源や隠れた名所などを活かしたプランは、大手では真似できない強みです。一方、名鉄観光サービスは、名古屋圏を拠点に、中部地方の観光を支えています。名鉄グループのインフラを活かした旅行商品は、利便性と価格競争力の両面で優位性を持ち、地元住民にも広く親しまれています。

これらの5社は、それぞれ独自の強みを持ち、日本の旅行業界を支えています。 今後、更に進むデジタル化や、持続可能な観光への意識の高まりなど、業界を取り巻く環境変化に対応しながら、それぞれの個性と強みを活かしたサービスを提供していくことが求められます。 消費者の多様化するニーズを捉え、新たな価値を創造していく企業が、真の「大手」として生き残っていくと言えるでしょう。