日本一長い在来線トンネルは?

2 ビュー

日本の在来線で最も長いトンネルは、青函トンネルです。1988年に開業し、北海道と本州を結ぶ重要な役割を担ってきました。現在は北海道新幹線と貨物列車が共用しており、1日に約70本の列車が運行されています。世界でも2番目に長いトンネルです。

コメント 0 好き

日本一長い在来線トンネル、青函トンネルの知られざる物語

日本の鉄道網を語る上で、青函トンネルは外せない存在です。北海道と本州を結ぶこの海底トンネルは、全長53.85kmを誇り、日本の在来線で最も長いトンネルとして知られています。1988年の開業以来、人々の往来や物流を支え、日本の経済発展に大きく貢献してきました。新幹線開通後も貨物列車の重要なルートとして活躍し、日本の大動脈としての役割を担い続けています。

青函トンネルの歴史は、明治時代まで遡ります。津軽海峡の荒波による海難事故が多発する中、本州と北海道を安全に結ぶ手段として、トンネル建設の構想が持ち上がりました。しかし、当時の技術では実現は困難を極め、計画は幾度となく頓挫しました。それでも諦めずに技術開発を進め、試行錯誤を繰り返した結果、1961年にようやく着工に漕ぎ着けました。

工事は難航を極めました。海底の複雑な地質、湧水、そして高圧の海水など、様々な困難が技術者たちの前に立ちはだかりました。中には、予期せぬ大量出水事故が発生し、作業員が犠牲になるという痛ましい事故も起こりました。それでも、技術者たちは諦めませんでした。新しい工法を開発し、安全対策を強化しながら、一歩一歩着実に工事を進めていきました。

そして、1985年、ついに貫通式が執り行われました。24年という歳月と多くの犠牲を乗り越え、ついに悲願が達成された瞬間でした。関係者たちの目には、喜びと安堵の涙が溢れました。その後、3年間の試運転を経て、1988年に晴れて開業を迎えました。

開業当初、青函トンネルは在来線の特急列車や寝台列車が運行され、多くの旅客に利用されました。北海道新幹線が開通した2016年以降は、新幹線と貨物列車が共用する形となり、旅客輸送は新幹線が担うようになりました。現在、青函トンネル内を走る貨物列車は、北海道と本州間の物流を支える重要な役割を担っています。青函トンネルを経由することで、トラック輸送に比べてCO2排出量を大幅に削減できるなど、環境面でも大きなメリットがあります。

世界的に見ても、青函トンネルはスイスのゴッタルドベーストンネルに次ぐ、世界で2番目に長い海底トンネルです。日本の土木技術の粋を集めて建設されたこのトンネルは、日本の技術力の高さを世界に示す象徴的な存在と言えるでしょう。

青函トンネルは、単なる交通インフラではありません。そこには、幾多の困難を乗り越えて夢を実現させた人々の情熱と、未来への希望が込められています。そして、今もなお、日本の発展を支え続ける重要な役割を担っています。今後、青函トンネルがどのように進化し、日本の未来に貢献していくのか、注目が集まります。

さらに、青函トンネルには、吉岡海底駅と竜飛海底駅という2つの海底駅が存在しました。これらの駅は、緊急時の避難施設としての役割を担っていましたが、北海道新幹線開業に伴い、旅客扱いは廃止されました。現在も非常時の避難路として機能しており、定期的に避難訓練が行われています。このように、青函トンネルは安全面にも配慮が行き届いた、世界に誇るべきインフラと言えるでしょう。