ベトナムではタバコは禁止されていますか？

ベトナム、電子タバコと加熱式タバコの全面禁止へ：その背景と影響

ベトナムで、2025年1月1日から電子タバコと加熱式タバコの製造、販売、輸入、保管、輸送、使用が禁止されることになりました。これは、ベトナム国会で承認された決議に基づくものであり、東南アジア諸国の中でも比較的早く、そして徹底的なタバコ規制に踏み切る事例として注目されています。

では、なぜベトナムはこれほど強力な措置を講じるのでしょうか？その背景には、主に以下の３つの要因が考えられます。

1. 若年層の喫煙率上昇への懸念： 電子タバコや加熱式タバコは、従来のタバコよりも有害性が低い、またはおしゃれなイメージで、若者を中心に急速に普及しています。ベトナム政府は、これが若年層の喫煙率上昇を招き、将来的な国民の健康を損なうことを強く危惧しています。特に、フレーバー付きの電子タバコは、子どもや若者を惹きつけやすく、ニコチン依存症のリスクを高める可能性があると指摘されています。

2. 公衆衛生への影響： 電子タバコや加熱式タバコの長期的な健康影響については、まだ十分に解明されていません。しかし、現時点での研究結果からは、心血管疾患や呼吸器疾患のリスクを高める可能性が示唆されています。ベトナム政府は、予防原則に基づき、国民の健康を守るために、これらの製品の流通を厳しく規制する必要があると判断しました。

3. 既存のタバコ規制との整合性： ベトナムは、すでに従来の紙巻きタバコに対する厳しい規制を実施しています。公共の場での喫煙制限、タバコ製品への警告表示の義務付けなど、喫煙抑制のための対策を講じてきました。電子タバコや加熱式タバコを規制しない場合、これらの対策の効果が薄れてしまう可能性があります。今回の禁止措置は、既存のタバコ規制と整合性を図り、喫煙率の低減を目指す一環として位置づけられます。

この禁止措置は、ベトナム社会に様々な影響を与えることが予想されます。

• 喫煙者の選択肢の変化： 電子タバコや加熱式タバコを愛用していた喫煙者は、従来の紙巻きタバコに戻るか、禁煙を選択することになります。禁煙支援サービスの需要が高まる可能性があります。
• 経済への影響： 電子タバコや加熱式タバコ関連の製造、販売、輸入業者にとっては、大きな打撃となります。これらの業界で働く人々の雇用にも影響が出る可能性があります。
• 闇市場の拡大の可能性： 規制が厳しくなるほど、闇市場での取引が活発化する可能性があります。ベトナム政府は、取締りを強化する必要に迫られるでしょう。

今回のベトナムの決断は、世界中のタバコ規制のあり方にも影響を与える可能性があります。他の国々も、ベトナムの取り組みを注視し、自国の状況に合わせた対策を検討していくことになるでしょう。今後、ベトナムがどのようにこの禁止措置を施行し、喫煙率低減に成功するのか、その動向から目が離せません。