商品の横流しは罪になる?

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会社の商品を無断で転売するのは、業務上横領という犯罪です。刑法253条で定められており、10年以下の懲役刑を受ける可能性があります。私的な利益のために会社の財産を不正に処分すると、重い罪に問われます。

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横流しは本当に「罪」なのか?~行為の定義から法的責任、企業が取るべき対策までを徹底解説

企業に属する従業員が、会社の商品や資産を個人的な利益のために不正に持ち出し、転売する行為、いわゆる「横流し」。ニュースなどで見かけることもありますが、「横流し」は具体的にどのような行為を指し、どのような法的責任を伴うのでしょうか?そして、企業はどのように対策を講じるべきなのでしょうか?本稿では、横流しの定義から罪の種類、企業が取り組むべき対策までを詳しく解説します。

まず、横流しは一口に言っても、その態様によって様々な犯罪に該当する可能性があります。ご指摘の通り、最も代表的なのは業務上横領罪です。これは、会社から預かっている商品を、本来の目的とは異なる個人的な利益のために処分する行為を指します。重要なのは、「業務上」という点です。業務として管理を任されているものが対象となるため、単に個人的に会社のものを盗む行為(窃盗罪)とは区別されます。業務上横領罪は刑法253条に定められており、10年以下の懲役という重い刑罰が科される可能性があります。

しかし、横流しが成立するのは業務上横領罪だけではありません。例えば、横流しを行うために、会社の会計帳簿を改ざんしたり、虚偽の報告を行ったりした場合は、詐欺罪背任罪が成立する可能性もあります。また、横流しによって会社の信用を著しく傷つけた場合には、名誉毀損罪に問われることも考えられます。

さらに、近年ではインターネットオークションやフリマアプリなどの普及により、横流しされた商品が容易に転売されるようになりました。この場合、横流しを行った従業員だけでなく、その事実を知りながら商品を買い取った第三者も、盗品等有償譲り受け罪に問われる可能性があります。

では、企業は横流しを未然に防ぐためにどのような対策を講じるべきなのでしょうか?

  1. 内部統制の強化: 商品の入庫から出庫までの流れを明確化し、在庫管理システムを導入するなど、徹底した管理体制を構築することが重要です。定期的な棚卸しを実施し、不正の早期発見に努めることも効果的です。
  2. 従業員への教育: 横領等の不正行為が犯罪であることを周知徹底し、倫理観を高めるための研修を定期的に実施することが重要です。不正行為を発見した場合の通報制度を設け、従業員が安心して情報提供できる環境を整備することも有効です。
  3. 就業規則の整備: 横領等の不正行為に対する懲戒処分に関する規定を明確化し、就業規則に明記することで、従業員への抑止効果を高めることができます。
  4. 内部監査の実施: 内部監査部門を設置し、定期的に業務プロセスや会計処理の適正性を監査することで、不正行為の早期発見に繋がります。
  5. 外部専門家の活用: 必要に応じて、弁護士や会計士などの専門家を活用し、内部統制体制の構築や不正行為の調査を依頼することも有効です。

横流しは、企業の財産を不正に奪い、信頼を損なう重大な犯罪です。企業は、上記のような対策を講じることで、横流しを未然に防ぎ、健全な経営環境を維持していくことが重要です。また、万が一横流しが発生した場合でも、迅速かつ適切な対応を行うことで、被害を最小限に抑えることができます。横流し対策は、企業経営におけるリスクマネジメントの重要な要素の一つとして捉え、継続的に取り組んでいく必要があります。