建設業の許可票の掲示義務はあるか?

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建設業許可を取得したら、許可票の掲示は法律で直接義務付けられてはいませんが、関係法規に基づき、事実上掲示が求められます。 掲示を怠ると罰則が科されるため、事業者にとって許可票の掲示は必須と言えるでしょう。 適切な場所に掲示し、法令遵守を徹底することが重要です。

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建設業許可票の掲示義務:法的義務はないが、実質的には必須

建設業を営む上で、許可票の掲示は避けて通れない重要な要素です。法律上、「建設業許可票を掲示しなければならない」という直接的な条文は存在しません。しかし、関連法規を紐解くと、実質的には掲示が義務付けられていると解釈できます。掲示を怠ると、罰則規定に抵触する可能性があるため、事業者にとっては事実上の必須事項と言えるでしょう。

建設業法では、許可を受けた建設業者は、請負契約を締結する際に、相手方に対して、許可を受けた建設業であることを明確に示す義務が課されています(建設業法第27条の3)。 この「明確に示す」ための手段として、最も有効かつ一般的な方法が、許可票の掲示なのです。

許可票には、事業者名、許可番号、許可業種、主たる営業所所在地などの重要な情報が記載されています。これにより、取引相手は、その事業者が適正な許可を取得しているか、どの業種で許可を受けているかなどを容易に確認できます。 これは、取引の透明性を確保し、悪質な無許可業者から消費者を守るための重要な役割を果たしています。

また、建設工事現場においては、工事概要などを掲示する標識の設置が義務付けられています(建設業法第27条の4)。この標識には、工事名、発注者名、施工業者名などが記載されますが、施工業者名を表示することは、間接的に許可を受けた建設業であることを示すことに繋がります。許可票が掲示されていれば、この標識の情報と照らし合わせることで、より確実な確認が可能になります。

さらに、下請契約においては、元請業者は、下請業者に対して、許可を受けた建設業であることを確認する義務があります(建設業法第28条)。 許可票は、この確認作業をスムーズに行うための重要なツールとなります。 下請業者が許可票を掲示していれば、元請業者は容易に許可の有無を確認できます。

では、許可票を掲示しなかった場合、どのようなリスクがあるのでしょうか? 前述の通り、直接的な罰則規定はありません。しかし、取引相手に対して許可を受けた建設業であることを明確に示さなかった場合、建設業法第27条の3違反となり、50万円以下の罰金が科せられる可能性があります。

また、許可票の不掲示は、事業の信頼性を損なうだけでなく、無許可営業と誤解されるリスクもあります。 これにより、取引機会の喪失や、顧客からの信用を失墜させる可能性も否定できません。

以上の点を踏まえると、建設業許可票の掲示は、法的義務ではないものの、円滑な事業運営、法令遵守、そして企業の信頼性確保のために不可欠な要素と言えるでしょう。 許可票は、見やすい場所に、適切な方法で掲示することが重要です。また、記載内容に変更が生じた場合は、速やかに更新する必要があります。

さらに、許可票は単なる掲示物ではなく、事業の証であり、責任の象徴でもあります。 許可票を掲示することで、自社が適正な許可を取得し、法令を遵守していることを対外的に示し、社会的な責任を果たしていることをアピールできるのです。 建設業許可を取得した事業者は、許可票の掲示を軽視することなく、その重要性をしっかりと認識し、適切な対応を心がけましょう。