後遺障害14級9号とはどういう障害ですか？

後遺障害14級9号：その実態と向き合い方

後遺障害14級9号は、交通事故や労災事故などでよく見られる「神経症状」に該当します。具体的には、むち打ち症（頸椎捻挫）や腰椎捻挫といった外傷の後、様々な症状が残存し、その症状が「医学的に説明可能」であり、「労働能力に影響を与える」と判断された場合に認定されるものです。

よく「むち打ちの後遺症」と一括りにされがちですが、その症状は多岐に渡ります。単なる首や肩の痛みだけではなく、頭痛、めまい、吐き気、耳鳴り、倦怠感、集中力低下、しびれなど、日常生活に支障をきたすものが含まれます。これらの症状は、レントゲンやMRIなどの画像検査で明確な異常が見つからない場合も多く、周囲に理解されにくいという苦しみも伴います。

重要なのは、「医学的に説明可能」であるという点です。 これは、単なる主観的な訴えだけでは認定されないことを意味します。医師による詳細な診察、神経学的検査、画像検査、心理検査などを通じて、症状と事故との因果関係、そして症状の重篤さを客観的に示す必要があります。

認定のハードルは決して低くありません。 多くのケースでは、症状の訴えだけでは十分ではなく、専門医による的確な診断と、それを裏付ける客観的な証拠が求められます。また、事故直後から継続的な治療を受けていること、症状の経過が詳細に記録されていることなども重要な要素となります。

では、後遺障害14級9号と認定された場合、どのような補償が受けられるのでしょうか？

• 逸失利益: 後遺障害によって労働能力が低下した場合、将来得られるはずだった収入の一部を逸失利益として請求することができます。
• 慰謝料: 後遺障害によって被った精神的苦痛に対する慰謝料が支払われます。
• 治療費: 症状の改善のために必要な治療費を請求することができます。

しかし、これらの補償を受けるためには、損害保険会社との交渉が必要になります。交渉は、専門的な知識や経験が必要となるため、弁護士に依頼することを検討するのも一つの選択肢です。弁護士は、適切な後遺障害の等級認定を受けられるようサポートし、適正な賠償金を獲得するために尽力してくれます。

後遺障害14級9号と診断された場合、まず大切なのは、諦めずに治療を続けることです。そして、自身の症状を客観的に記録し、医師とのコミュニケーションを密にすることで、症状の改善と適切な補償の獲得を目指しましょう。専門家のサポートも積極的に活用し、一日でも早く日常生活を取り戻せるよう、前向きに取り組んでいくことが重要です。