技能実習生を帰国させたいのですが、どうすればいいですか？

技能実習生の帰国手続きは、企業にとって煩雑で、時に感情的な問題を含む場合があります。単なる手続きではなく、人材育成に関わった実習生との良好な関係を維持しつつ、円滑な帰国を支援する必要があるからです。そのため、帰国をスムーズに進めるための具体的なステップと、考慮すべき点について、詳細に説明します。

まず、最も重要なのは帰国の時期と理由の明確化です。契約期間満了による帰国であれば、事前に帰国時期を十分に余裕を持って実習生に伝え、準備期間を確保することが大切です。一方、契約期間中であっても、やむを得ない事情（病気、家庭の事情など）により帰国が必要な場合は、速やかに関係各所（監督機関、出入国管理局など）に相談し、適切な手続きを進める必要があります。 早めの対応が、後々のトラブルを避ける鍵となります。

次に、帰国手続きそのものについてです。これは、在留資格の種類、帰国理由、そして実習生本人の状況によって大きく異なります。

• 出入国管理局への届け出: これは必須です。帰国時期が決まれば、速やかに出入国管理局に在留資格の抹消手続きを行う必要があります。必要な書類は、出入国管理局のウェブサイトで確認するか、直接問い合わせることをお勧めします。 手続きに必要な書類は、実習生の在留カード、パスポート、雇用契約書などです。正確な情報と書類の準備が不可欠です。

• 航空券の手配: 帰国のための航空券の手配は、契約内容や帰国理由によって異なります。契約書に帰国費用に関する規定がある場合、その規定に従う必要があります。 一般的には、契約満了による帰国の場合は、企業が費用を負担する場合が多いですが、契約途中で帰国する場合、費用負担の責任はケースバイケースで判断されるため、事前に確認が必要です。 また、実習生の希望する航空会社やルートなども考慮し、柔軟に対応することが求められます。

• 送金手続き: 帰国前に、実習生が日本で得た賃金や貯蓄を本国へ送金する手続きを支援する必要があります。安全で効率的な送金方法を選択することが重要です。 手数料や送金にかかる時間などを比較検討し、実習生にとって最適な方法を提案しましょう。 必要に応じて、送金手続きに関するサポートを提供することが、実習生への配慮として重要になります。

• 健康診断と予防接種: 帰国前に健康診断を受けさせることを検討する必要があります。 必要に応じて、予防接種も受けさせることが重要です。これは、実習生の健康を守り、本国での生活をスムーズに始めるために不可欠です。

• 生活必需品の準備: 帰国に必要な衣類や身の回り品などの準備についても、必要に応じてサポートを提供しましょう。 特に、長期間の滞在で持ち物が多くなっている場合、荷物の整理や発送の手配を支援することが、実習生にとって大きな助けとなります。

さらに、実習生とのコミュニケーションも非常に重要です。帰国までの期間、不安を抱えている実習生もいるでしょう。定期的に面談を行い、不安や疑問を解消し、安心して帰国できるようにサポートすることが大切です。 言葉の壁がある場合は、通訳者を介してコミュニケーションを取ることも検討しましょう。

帰国手続きは、単なる事務手続きではありません。実習生と企業、そして送り出し機関との良好な関係を維持する上で重要なプロセスです。 丁寧な対応と適切なサポートを提供することで、実習生が安心して母国へ帰国し、将来に繋がる経験として捉えられるよう、尽力することが企業の責任と言えるでしょう。 法令遵守はもちろん、倫理的な視点も常に意識し、円滑な帰国を実現することが重要です。